研究に使う蚊の確保
ワシの研究を現実に実行するには、サンプルとなる蚊の成虫を効率よく、しかも確実に管理できる装置が必須です。ところが調べものをしても、なかなか蚊を安価に大量飼育できる装置が見つかりません。これは困りました。
そこで自分でボウフラを増殖させる装置を考案してみることにしたのです。記事の後半で装置を公開します。
その前に。ボウフラと蚊の一生を簡単にまとめます。蚊の一生が分からないことには、ワシの考案したボウフラ増殖装置の意味が分からなくなってしまうので。
蚊の一生のサイクル
以下、簡単にではありますが、蚊の一生をまとめます。
① 卵(水中)
蚊の成虫が交尾した結果、水面に卵を産みつけます。2日から5日程度で孵化します。
② ボウフラ(水中)
孵化したあとの姿は、ご存じのボウフラです。水中を漂います。主なエサは水中のプランクトンとか土の成分です。ほとんど水中にいるのですが、呼吸するときには水面に上がってきます。だいたい1週間程度の期間を経て、次の形態へ進化します。
③ オニボウフラ(水中)
蚊の蛹(サナギ)です。ボウフラに比べると頭がデカくて、ゴマみたいに見えます。この形態のときには食事をせず、ひたすら水中を高速で動きまわります。2、3日してから、いよいよ羽化します。
「初めて聞いた!!」って人もいるでしょうから、写真を添付します。ペットボトルのキャップに1匹だけ移しています。ゴマみたいやヤツです。
④ 蚊(陸上)
成虫形態です。
さて、スゴイ重要な事実があります。
蚊の食事は、糖分を含んだ水です。事実、自然界にいる蚊は花の蜜を吸います。
「いつ血を吸うんだ?」って話ですよね。はい。蚊が血を吸うには条件があって。それは産卵期のメスに限った話です。
大事なので、もう一度。蚊が血を吸うのはメスで、しかも産卵期だけ。
ここ、テストに出まーす。
ボウフラ増殖装置
ボウフラ増殖を効率よく実行できる装置・・・。なかなか他に実行した人がいないもので、自分で考えるしかありません。
上記の発生サイクルを、一つの場所で同時に、繰り返し行える装置が理想。大きすぎても管理がしにくいので、小型で。
いよいよ公開。
透明な水のなかには、ボウフラが居ます。エサとなる土の成分が溶け込んでおり、ボウフラはこれを食します。
そのなかに、黄色い液体が分かると思います。こちら、エナジードリンクです。成虫用の食事です。当然ながら糖分も多くて、おいしいと思います。浮力が効いており、土が溶け込んだ水に浮かぶようにしています。容器でパーテーションされていますので、土の入った水と混じることはありません。(ボウフラが糖度の強い液体にさらされると体力が弱まる懸念があり、こうしています。)
空気の部分には、成虫の蚊が飛んでいます。前述のとおり、メインの食事はエナジードリンク。そして装置の上部には、人の指が入るほどの穴がありますので、定期的に指を入れて吸血するかどうかチェックします。つがいになった場合には、吸血後に水中に産卵できます。
まだプロトタイプですし、改良の余地は大きいです。
単純な仕組みながら、うまく導線が出来ていると思います。
語郎