出版不況でクソみたいな本も多いなか、
これは本物です。
手短に書評をば。
去年の暮れに読みまして、
それ以降、
僕のなかで勝手に「殿堂入り」しました。
僕の叔父さんにも紹介したところ、
絶賛してました。
ドキュメント 戦争広告代理店
出版社:講談社 作者:高木徹
おススメ度:★★★★★
戦争のPRを専門にしてる、
アメリカのメディア会社のドキュメンタリーです。
「戦争のPRって何?そんな会社あんの?」と思いますよね。
僕も最初は意味が分かりませんでした。
が、実在する会社なんですよ。
ヤバいっすよね、この時点で。
そのメディア会社が、
20世紀最悪の紛争と呼ばれる
「ボスニア紛争」に関わる話なんです。
戦争の裏側にある情報戦。
真のテーマがそれです。
あらすじ
簡単にあらすじ。
ちょっと、ややこしいです。
まず、この一連の事件において、
・ボスニア 被害者
・セルビア 悪者
みたいなイメージでいてもらうと、
結果的に話がつかみやすいです。
1992年、
東欧のボスニアとセルビアの間で内乱が起こります。
このあたりの国は、
多民族国家であり人種も混在しており、
内乱が生じやすい下地がありました。
でも、最初の最初に、
どちらが手を出したのか、
現在に至るまでよく分かっていません。
が、一般市民も巻き添えを食らうなど事態は深刻化します。
そこでボスニアの外相が、
戦争の窮状をアメリカに訴えにいくのですが。
アメリカから帰ってきた答えは
「現時点でアメリカは手を貸せない」
「アメリカ兵も死傷者が出るのは必至だから、世論が許さず、政治家が選挙で落ちてし
まう」
「まずは、ボスニアがやられまくってるとメディアを使って、情報煽動し、世論を味方
にしてほしい」と、突っ返されてしまうんです。
そこで、
冒頭に出てきたPR会社に相談し、
各種メディアを使った情報戦を展開します。
ボスニア人が虐殺されてる、
といったド派手な見出しの記事とか、
真偽不詳な情報を事実として報じたり。
あの手この手、
ときにはグレーすれすれな手段も。
そんな情報戦の結果、
セルビアのイメージが悪化し続け、
ついに西側諸国もボスニア側につくようになり、
戦争は落ち着きます。
だいたいこんな話です。
「民族浄化」
先ほどはサラッと書きましたが、
情報戦の中身がえげつないんです。
ネタバレになってしまうんで、
細かくは書きませんが、
メディア会社の「言葉選び」のセンスが秀逸なんです。
ボスニアで人が殺されてる状況を、
「民族浄化」と表現し、
あのナチスの非道な行いを連想させ、
今回の紛争になぞらえるんです。
あとは、
病院や助産院が砲撃された、
みたいな映像ってあるじゃないですか?
ウクライナ戦争でもよく観ました。
あれも、
戦争PRの常套手段なのです。
個人的見解
ウクライナ戦争とか、
イラン戦争とか、
戦争報道はよく目にします。
が、
「本当にその戦争って起きてるんでしょうかね?」
いや、陰謀論とかじゃなくて。
現地を見てきたなら分かりますが、
基本、僕らは、
ネットなりテレビなりで事情を察知しますよね。
原理的には、
さっきのような疑問は当然生じうると思うのですよ。
だって、自分の目で見てないんですから。
でも、
現地にいけません。
いや、いけますが、
なにぶん遠い。
おまけに危ないし、
そもそも、
そんな暇ない。
なので、
ある程度はメディアに頼らざるを得ません。
なにかと問題になる偏向報道の類は、
足を使わない怠け者な僕らに対する、
情報取得の通行料や手数料みたいなものかも知れません。
そんな風に思ってます。
語郎
