有給医のライフハック記録

医師の語る人生最適化戦略

夜勤の弊害と寿命について、思うところ。【まさかの発がん性リスク】

・夜勤のある職業

・夜勤と病気

・夜勤手当

 

・夜勤のある職業

夜に働くことが、業界として当たり前になっている業種があります。たとえば、警備関係、飲食関係、医療関係などなど。とくに、インフラに関する業界で多い印象がありますね。

 

ふつうは、太陽が出ている時間帯に働いて、夜はしっかり眠るのが、生物として自然体です。人類が狩猟生活をしていたときも、さすがに夜は寝ていたでしょう。産業革命時代のイギリスの工場でも、労働者は夜には眠っていたようです(土曜日は、日中に半日だけ働かせることは、あったみたいですが)。

 

ところが、冒頭にあげさせていただいた業種では、人様が寝ている時に呼ばれたり、作業をしますから、心身への負担は強くなります。「相当、不健康だろうなぁー」と昔から思っておりました。

 

以前に参加させていただいた産業医の講習会でも、この「夜勤と健康」のテーマが出てきました。結論をさきに言ってしまいます。統計的には、生活習慣病をふくむ疾病リスクが上昇しますし、単純に寿命を縮めます

 

もし夜勤に携わっておられたら、ご参考にしてくだされば。振り返る機会になれば幸いです。

 


・夜勤と病気

休むべき時間帯に活動していますから、人体に”ガタ”が蓄積されてゆきます。

 

高血圧、狭心症不整脈を含む循環器病のリスクが上がります。血管という括りでは、脳卒中のリスクも、やっぱり上がってしまいます。ほかにも、糖尿病や脂質異常症などで知られる代謝関係の病気のリスクも上昇。

 

あとは、メンタルにもきます。睡眠障害だったり、うつ病だったり。これらも誘発しうるのです。

 

上のあたりは、なんとなくイメージがつくかと思いますが、意外なことに発癌性もあることが判明しております。

 

妊娠中の女性だと、流産・早産のリスクも上がり。

 

ざっくりと挙げさせていただきました。もちろん統計学的に、「月に●●回の夜勤によって、こういう疾患のリスクが増加するよ。相対的な危険度は●●倍だよ」と細かくデータがはじき出されています。

 

簡単にいえば、「ほぼ全部の病気のリスク上がるじゃん」って話になります。ざっと資料を見る限りの話になってしまいますが、「夜勤をしていると疾病になるリスクが減りました!」などというデータは、見当たりませんでした。

 

 

・夜勤手当
いうなれば「健康リスク」が、こんなにあります。これらの「健康リスク」を織り込んで、夜勤の時間帯には報酬がUPします。

 

ですが、たとえ給料が上がったとしても、お金を使うための命が縮んだら、元も子もないでしょう。文字どおり、命をお金に換えている。やっぱり、そこは健康第一だな、と思っちゃいます。

 

寝ないと無理な人は、夜勤のある業界は避けた方が無難でしょう。自分の体と相談するのが、一番だと思います。

 

語郎