有給医のライフハック記録

医師の語る人生最適化戦略

夜勤、当直、バックアップの違いを解説。

 

ややこしい勤務形態

僕にしては珍しく、本業に関すること、特に労働チックなことを暴露します。無給医とか無給労働については、以前まとめたので、今回は当番関係の労働についての違いを解説します。

ここで取り上げるのは当番です。要するに、診療科目内での、持ちまわり勤務のことですね。たいていの診療科目で存在しています。病院内には夜間や休日で対応できる最低限の人数の職員をそろえる必要があります。病気は待ってくれないからです。

 

「この日はどうしても予定があるので当番が出来ません」という日を、あらかじめ当番表なりに記載しておき、みんなで調整をかけて当番勤務をします。

 

おもに ①夜間帯 ②休日祝日 について、当番体制をしいている病院が殆どでしょう。

 

当番の3タイプ

無論、施設間で差もあるし、ローカルなルールもあるでしょう。ここで記録するのは、僕の経験ベースでサンプルも少ないですが、まあ「生の声」として受け流して下さい。

夜勤

夜間帯に勤務します。救急科の夜勤、なんていうのがイメージしやすいと思います。かなり忙しい科目については、途中で休憩をはさむ間も難しく、実質的にずっと労働している状況になりがちです。当然ながら院内で一晩明かすことになります。

当直

これも有名な単語ですよね。夜間帯に病院に泊って勤務するのですが、あくまで「何かあったとき」に呼ばれて対応する業務です。もちろん休めない時もあるでしょうが、労働基準法的には「ほとんど休んで過ごせる」タイプの業務と定義されています。

 

医療業界で市民権を獲得したような単語ですが、たとえばマンションの管理人さんだとか、そういった非常時に居ないといけない人たちも、この形態をとることがあります。

バックアップ・オンコール待機

あまり有名じゃないかもですが、こういう制度の病院もあります。この制度が何ぞやって話でして。

 

当直ともまた違い、基本的には自宅待機です。「何かあったとき」に病院から電話が来ます。電話がかかってきたあとの対応はまちまちで、電話口で指示を出して終わりの時もあれば、出勤が必要な時もあります。

 

ありがちな問題

上記の形態に関する、あれこれの問題をまとめます。

① 当直が夜勤になっちゃってる問題

これ、本当に「あるある」です。

 

先に記したとおり、当直は「何かあったとき」だけ対応する当番なので、夜勤とは明確に異なります。「ほとんど休んで過ごせる」っていうのが原則です。 これは病院にローカルな定義ではなく、労働基準法で定められたルールです。

 

ほぼ「夜勤」状態なのに、「当直」として勤務させるのは、本来であれば大変まずいのです。「夜勤」は過酷であるために週40時間の労働時間に組み入れることになりますが、当直は組み入れることがないので労務管理的にやっぱりマズイのですよね。

 

くわえて当直代は夜勤手当よりも安く設定されることがほとんどなので、無給医の懐にもダメージが大きいのです。

② オンコール代が払われない問題

先に記したバックアップ・オンコール待機の当番は、これまた扱いが微妙で、曖昧です。

 

自宅で待機させている時間について、「労働なのかどうか」っていうのは、専門家(弁護士先生)によっても意見が割れるところだそうで。「業務指揮命令系統なので労働」という立場もありますが、一方で「直接的な労働ではない」という人もいまして。

 

ただ、まあ実際に電話がかかってきて、万が一サボって出なかったとしたら、翌日色んな人にブチ切れられるでしょうし、そうみると、やっぱり「労働」判定を下したいところだとは思いますけどね・・・。

 

さすがに出勤した場合には労働時間に応じて賃金は出るでしょうが、電話対応だと微妙なところですね。やはりこれも「無給医泣かせ」であると思われます。「無給医の泣きどころ」的な。

 

(もし)読んでいる研修医が居たら

このあたりの細かい部分にも気を配った方が良いですよー。 世の中、細かいところが案外大事なのです。

「働いてるのに無給」とか「プライベートの予定を入れられないのに無給」とか、なかなかのストレスになるでしょう。

入職のときには「はい!頑張って勉強します!」と言う人が殆どですが、それはある種の恍惚状態、気持ちよくなっているだけなのね。

 

あとから目が醒めて、現実に戻ってきて、後悔しちゃう人もいるので、注意。

 

語郎