地震が起きたあとに、「地面に揺られる感覚」が残るような体験をしたり。あとは、海に入って遊んだあとで、「波に揺られる感覚」が残っちゃったり。このような体験をされた方は、けっこう多いと思います。
なんで、そのような感覚に襲われてしまうのか? 場合によっては、気持ち悪くなる人もいらっしゃるみたいです。
詳細について、完全に分かっているわけではありません。ですが、だんだん仕組みが医学的に明らかになりつつあります。簡単にですが、そのメカニズムをご紹介しようと思います。
・普通の動きでは、なぜ「酔わない」
よほど体調が悪いときは別ですが、ふつうに後ろを振り向いた程度では酔いませんよね? でもこれって、よく考えたら、不思議な話ですよね。
だって、波みたいな小さな動きでも、あとで不快な感じが残ることがありますでしょう。横をみる動きのほうが、波よりも動きが大きいです。不思議です。
・普通の動きについて
頭の位置をとらえるセンサーは、三半規管といって耳の中に入っています。こいつが、けっこう重要だったりします。軽く、覚えておいてくれると、助かります。
いま、あなたが真正面を向いていると仮定します。その正面の位置から、顔を右に向ける運動を考えます。
頭の位置としては、当然ながら、正面から右に向く動きをキャッチします。三半規管が、この動きをとらえるわけですね。天井からみると、ちょうど「時計まわり」になります。
さて、この動きを、視覚の面から考えてみます。あなたの正面にあったものは、(自分の頭が右を向くにつれて)視界の左端に消えてゆきます。これを解釈しますと、周囲の景色は、天井からみると「反時計まわり」になります。
ここで、何が言いたいのか、と言いますと。「頭の動く向き」と「周囲の景色の流れる向き」は、通常の場合には逆になります。人間の脳ミソは利口ですから、ここのところを理解しています。ですから、いちいち気持ち悪くなることは、ないのです。
・地震のときには・・・
ここまで、分かればあと少しです。
じゃあ、地震や波のときを考えましょう。いずれの場合にも、共通して言えることがあります。
それは、「頭の動きとともに、視界も同じ向きに動く」ことです。地震や波に揺られているときには、地面や海面ごと、揺られているわけですよね。頭の動きが上にいったら、視界も一緒に上に動きます。
どうやら、人間の脳ミソは、このような「同じ向きに動く場合」の処理が苦手のようなのです。ふつうに陸上で過ごすうえでは、処理として考慮されていないのでしょう。そのため、気持ち悪くなったり、違和感が残ったりするとされます。
対処方法は、さほど無くって。もう、そういうものだと思って過ごすことにしています。「あー。僕の脳ミソがパニくっているなー」と。
語郎