有給医のライフハック記録

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ペストについての、要約。CDCのサイトを参照しました。【黒死病の名を刻んだ感染症】

 

www.cdc.gov

 

ペストについて

CDCのサイトで、ペストについて調べていました。ペストは、いわずと知れた恐ろしい感染症です。世界史で習った「黒死病」の原因だとされています。そのため、すっかり過去の病気だと思われているかも知れませんが、現代でも発症例があります。

 

そういった意味で、知る意義はあるかと。勉強した内容を、記録しようと思います。とはいえ「ペストをまとめる」といいましても、幅がひろすぎます。関心が深いと思われる「症状と治療経過」を軸にして、CDCの英語サイトをソースに、ご紹介します。

 

助長すぎてもわかりにくくなりますから、抜粋と要約をさせて頂きます。なお、冒頭にCDCのplague(ペスト)ページへのリンクを貼らせて頂きました。分かりやすい図や写真もございますので、よろしければご覧ください(見た目がキツイ写真もあるので、この記事には載せません)。

 

 

生態系と感染ルート

ペストを発症させる病原体は、Yersinia pestis(ペスト菌)という腸内細菌の一種です。ほかの病原体とおなじく、自然界のなかをグルグル回っております。回る、というのは、病原体を移しあっているという意味です。

 

では、どの生物の間を回っているのか、というと。「ノミ」と「野生のげっ歯類」です。人間から見た感染のルートは、おもにペスト菌を持っている「ノミ」に刺されることです。また、ペスト菌に感染した動物の血液や体液に触れても、感染します。

 

ようは、ペスト菌をもっている「ノミ」がキーマンだということですね。こまかいウンチクは不要ですので、これだけ理解していれば十分でしょう。

 

 

症状

「どのような経路で、ペスト菌に暴露されたのか」によって、症状が変わります。ざっくりと分けて、3つの形態があります。

 

①腺ペスト・・・急な高熱がでたり、頭痛がしたり、寒気がしたり。くわえて、ペスト菌が侵入してきたリンパ節が腫れます。飛び火するように、リンパ節からリンパ節へ感染していきます。ちゃんと治療しないと、他の臓器へ感染が広がります。

 

②敗血症性ペスト・・・熱がでたり、寒気がするのは腺ペストと同じです。特徴的なのは、皮膚や臓器への「出血のしやすさ」です。この「出血」によって組織が腐るため、黒ずんだ色になります。「黒死病」とされたのは、おそらくこの形態でしょう。いきなり敗血症性ペストになることもあれば、①の腺ペストから移行することもあるみたいです。

 

③肺ペスト・・・熱がでたり、全身状態が悪くなるのは、上と同じです。くわえて、名前どおりなのですが、呼吸系の症状が特徴です。咳がでたり、血の混じった痰がでたり。ペスト菌を吸い込んでも発症しますし、上記の①と②が肺まで進んでも発症するようです。ペスト感染症としては最も重い状態であり、人から人へ感染するフォームでもあります。

 

 

お恥ずかしながら、CDCのサイトをみるまでは、ここまで知りませんでした。周りの医者でも、くわしく知っている人は皆無でした。

 

 

予防

現在の日本で、ペストが流行しているわけではありません。その点では、過剰に心配する意義は薄いでしょう。

 

以下、ペスト流行地での注意点になります。

むやみに、げっ歯類に接触するのはやめましょう。げっ歯類と戯れる際には、ちゃんとグローブをつけましょう。ペットの犬や猫とは、一緒に寝ないようにしましょう(感染ノミが、ペットに付いている可能性を配慮して)。

 

ペスト流行地のマップは、リンク先の「Maps and Statistics」に詳しい図があります。おもにアメリカ大陸とアフリカ大陸の一部で、散発しています。

 

 

治療

細菌感染症ですので、抗生剤が有効です。適切につかえば、病状の悪化は防げる、と記載があります。

 

あたりまえかも知れませんが、早期発見して早く治療すればするほど、完全回復への可能性が広がります。スゴイですね。full recoveryって書いてますね。

 

「ペスト患者に濃厚接触した人は、どうするのか?」といった、当然わいてくるであろう疑問への提案もありました。まずは評価のうえで、可能なら隔離監視すること。それにくわえて、「接触の時間や発症者の状態にあわせた予防的な抗生剤使用は、許容される」とあります。感染した疑いが少しでもあれば、注意深く監視しましょう、と締めくくられています。

 

 

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CDCのサイト、すごく参考になります。図表もまとまっていますので、ご興味がありましたら、ぜひ閲覧ください。

 

 

語郎