- ゾンビ人気
- ゾンビあるある
- モデルの「病気」とは
- 余談
1.ゾンビ人気
創作物の世界で、ゾンビは大人気である。今も昔も、引っ張りだこの人気者だ。ホラー系コンテンツにおいては、強烈なモチーフとなっている。こういった創作物には、基盤になるモデルが、大抵の場合に存在するものだ。
ゾンビについても、同じことがいえる。その特徴や状態について、生物学的にみて、モデルであろうと思われる「疾患」は存在する。確定的ではないにせよ、影響を強く受けている可能性が高いのだ。
その病気について概説する。現在の日本には、その疾患の患者さんは存在しない。だが世界的にみると、極めて重篤で危険な疾患だ。毎度お断りのとおりだが、この疾患の方を貶める意図はない。
2.ゾンビあるある
ゾンビの生態については、創作物によって、実にさまざまなスタイルをとる。だいたいの共通項をとると、以下のようになるのではないだろうか。
- 噛みつく。噛みつかれたものは、同じようにゾンビ状態になる。
- 凶暴化する。あるいは、動きが緩慢になる。
- 食欲が亢進する。また普段食べないようなものを食すようになる。
- 体力が上がる。攻撃に耐性をもつ。
挙げればキリがないけれど、こんなところだろう。ゾンビが発生する理由も、作品によって様々である。
- ウイルス研究所から、ゾンビウイルスが漏れ出た。
- 魔術的な何かで、ゾンビ発生の引き金を引いた。
科学的な内容を盛り込んだ内容だったり、オカルトよりだったり、そこは統一的ではない。
3.モデルの「病気」とは
特徴的な症状が現れる、人類にとって恐ろしい疾患がある。狂犬病である。先に述べた通り、日本でこそ広まっていないが、世界では現在でも流行している疾患だ。
狂犬病ウイルスを保有している動物(犬に限らない)に噛まれることで、唾液を介して噛まれた人の体内にウイルスが流入する。そう、ウイルス感染症だ。
何が恐ろしいといえば、根本的な治療法がないことに尽きる。一度狂犬病を発症すると、ほぼ100%死亡するのだ。しかも1週間程度という短期間のうちに。これほど恐ろしい疾患はない、と思ってしまう。
症状が特徴的である。
- 水を恐れる。恐水症という。
- 風に過敏になる。恐風症という。
- 興奮、錯乱、攻撃性が目立つ。
- 麻痺、神経症状 ⇒ 経過とともに、昏睡へ。
実際に、狂犬病を発症した方の動画を確認した。介助者によって水の入ったコップが狂犬病患者さんの口元に差し出されると、その患者さんは首を大きく振り大声をだしていた。ほかにも錯乱し、ドアをたたいたり、ベッドに体を打ちつけたり。恐ろしく動き回る様子だった。
上記の特徴的な様子が、創作物の原型になった可能性は否定できない。感染経路も「噛まれる」という特徴的なもの。
悲しいことに、患者さんは最終的に神経をウイルスに侵され、昏睡し亡くなる。治療はないが、予防のワクチンがある。発症前にワクチンで対抗するしか、手がない。
4.余談
余談になるが、昆虫の世界にも、「ゾンビ化」させるウイルスは存在するのだ。感染した幼虫の行動を操作して、体を腐らせる。腐った体液から、ウイルスを撒くのだ。そして体液を浴びた昆虫に、また取り憑くのだ。
嗚呼、恐ろしき自然界。
語郎