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寄生虫感染症は、もう古い???【身近にある脅威】

 

図説人体寄生虫学

図説人体寄生虫学

 

 

僕のなかに眠る「寄生虫マニアのスイッチ」が、昨日ブログ記事を書いたことで、押されてしまったみたいです。

 

新型コロナウイルスの大流行で世界中がパニックにあるなか、寄生虫感染症のことを書いています。「いまは寄生虫どころじゃ、ないんじゃい!!」という声が聞こえてきそうです。

 

ただ、やはり感染症」の脅威の一つとして、寄生虫や原虫感染症の存在も知っておくべきなのでは、と痛感するのです。

 

 

寄生虫感染症は、「過去のもの」なのか??

僕が小学生のころ、「蟯虫検査」が実施されていました。青いビニールみたいな、ターゲット円が書いてあるテープを、お尻に擦り付けるわけです。ちょっと気持ちが悪い検査です。あれで、寄生虫である蟯虫の卵を検出するのです。記憶のある読者様も、いらっしゃるでしょう。

 

あの検査、2015年から、もう義務ではないのです(一部地域を除く)。義務ではないため、一般には実施されておりません。なぜでしょうか?

 

べつに小難しい理由はありません。「衛生環境の改善」にともなって、蟯虫症自体が激減したためです。小学生で虫卵を保有している保有率が、1%を割る数字となっており、集団検査のコストに見合わないため、実施されないのです。

 

 

・衛生環境の重要性

ここから、ちょっと汚い話になってしまいますが、重要な点です。

 

回虫という、寄生虫がおります。世界的にポピュラーな寄生虫です。以前(1900年代後半まで)の日本では、「肥溜め」という、人の糞尿をためておく場所がありました。野菜を育てる肥料として、尿や糞は重要だったわけです。

 

回虫はそういった「汚い環境」を好み、そこで育てられた野菜に虫卵が付着します。卵のついた野菜を食べた人に、感染するのです。そして体内で育ち、卵を産んでしまいます。その卵が、人の糞と一緒に出るのです。そういったサイクルを繰り返します。

 

人工の肥料がありますので、今ではこういった感染ルートは激減しています。やはり、衛生環境は非常に重要なわけです。

 

 

・グルメブームと寄生虫

べつに脅かしたいわけでも、ないのですが。

 

一部の生魚や生肉などでは、寄生虫感染のリスクがあるのです。寄生虫と媒介動物を、少しだけ列挙します。もちろん、「食べたら感染しちゃう」わけではありません。「寄生虫に感染していた媒介動物」を食べると「感染のリスクがある」程度です。

 

アニサキス:サケ、タラ、アジ、などなど。雑多。

・広節裂頭条虫(サナダムシ):サクラマス(主に鱒寿司

顎口虫:淡水魚(ドジョウ、フナ)

旋尾線虫:ホタルイカ

 

たくさん、あるんです・・・。ここに書ききれないくらい、たくさん、あります。

 

 

・まとめ

ウイルス感染症や細菌感染症に比べると、寄生虫症の感染経路は非常に限定的です。衛生環境が整った現代ですと、いわゆる「生食い・ゲテモノ食い」が大きなリスクです。

 

 

語郎