有給医のライフハック記録

医師の語る人生最適化戦略

体温の不思議。自分のベースを知るのが大切。

 

 

体温測定の習慣

新型コロナウイルス流行後から、体調管理の一環として体温測定している方は多いと思う。とくに僕のような職種だと、体温測定は義務である。最低でも起床時に確認してから、家を出るように言われている。37.5度を目安として、それ以上高ければ報告の義務がある。

 

ところで、ふと体温測定したところ、ちょっと高くて驚いたことがあるかもしれない。あるいは逆に、低すぎたり。朝と晩で、温度差があったり。そう、体温は常に一定ではないのである。

 

体温について、意外と知られていないと思われることを、まとめて記録する。体調管理として、理想的な方法論も併せて記録とする。

 

 

個人差がある。また、容易に変動する。

日本人の平熱の平均値を御存じだろうか。腋下での測定で36.89℃±0.34℃と言われている。つまり、36.55℃~37.23℃の範囲である。意外と高い印象を受けたのだが、いかがだろうか。あくまで数字としてだけ見ると、37.0℃は平熱の範疇なのである。

 

ボリュームゾーンは判明しているものの、やはり個人差はある。35℃代の後半が平熱の人もいるだろうし、36℃代の後半の人がいてもおかしくない。幅がある数値なのである

 

そこに加えて、体温の概日リズム、という概念がある。時間帯によって体温は変動するというものだ。就寝前後から早朝にかけては体温が低くなり、日中の活動時間帯は体温が高くなる。人間の活動を促すようなホルモン分泌に合わせて、体温リズムが形成される、と説明されている。

 

 

年齢によっても変わる。概日リズム以外の要因もある。

同じ人でも、年齢によって平熱は変わる。子供の方が平熱が高めで、高齢になるほど下がってくる。

 

また、食後・運動後・入浴後は体温が上がる。また平均としてみると、夏場のほうが体温が高くなる。イメージどおりだと思う。女性だと月経リズムの影響もある。

 

学生時代、食後に真夏の炎天下で歩いた後、自宅に帰ってすぐに体温を計ったら、37.2℃だった。もともと平熱が高めの僕だが、これは「異常」だろうか。病院に相談をするマターだろうか。体調はすこぶる良かった。・・・おそらく、問題ないだろう。しっかり水分をとって、時間をおいて測定して、確認すれば良い。すぐに36℃代に戻った覚えがある。

 

 

 自分のベースを知るのが大切。何℃から、といった明確な基準はない。

このように、体温測定には影響を与えるパラメータ(媒介変数)が多すぎる。外部環境や時間帯の影響をモロにうける。測り方さえ、影響を与えてしまう。

 

自分のベースの体温変動を、定点観測するのは良いと思う。理想としては1日4回ほどだ。起床時・正午過ぎ・夕方・就寝前と、測定できれば理想的。毎日ずっと測る必要はまったくない。季節の変わり目などに、休日でやってみると理想的なのではないだろうか。これでベースの体温の「ゆらぎ」を確認できる。

 

当初、新型コロナウイルス感染症の発熱の目安は37.5℃となっていた。これも当然目安であり、もう少し低くても体調変化があれば、注意すべきなのかもしれない。

 

 

 

 

 

以下、完全に余談。研修医のころ、ほとんどの診療科では38℃で血液培養検査(血液の菌を調べる採血)を実施するようなマニュアルになっていた。

感染症重篤になりやすい科は、より慎重だった。白血病などを扱う血液内科では、ちょっと低めの37.5℃で血液培養検査だった。より安全をとって、この数字になったのだろう。現場でさえ、このように数字が異なるのである。

 

 

語郎