有給医のライフハック記録

医師の語る人生最適化戦略

「虫の名前」が入る、医学用語を、まとめてご紹介。【クモ、蝶、蜂、蚊】

医学用語には、日常生活では登場しないような単語が、多々あります。やたら古めかしい単語も多いのです。昔の偉い人が決めたので、現代まで生き残っているというわけです。

 

僕は虫が大好きなものですから、医学用語を「虫」の観点から、整理して記録しようと試みました。

 

こういった「切り口」での病気や用語のまとめは、あまり見かけません。「虫」ごとに、まとめます。すこしでも、イメージに残ってくだされば幸いです。病気も、軽く概説させて頂きます。

 

それにしても人間の病気の症状を、「虫」に例えるとは。昔の人の思考は、すこし不謹慎な気もしますが、以下は全て学術的な単語です。ご容赦ください。僕が命名したわけでは、勿論ありませんので。

 

 

・クモ

 

クモ膜下出血

有名人で発症される方も多いので、有名な病気です。聞いたことのある方も、多いのでは。恐ろしい病気です。

 

「そもそも、クモ膜って何?」って話ですが。ざっくりと言えば、人間の脳をコーティングする膜の一つです。他にも、硬膜(頭蓋骨に張り付いている)、軟膜(脳の表面にピッタリ張り付く)という膜があります。この二つの膜の間にある、クモの巣っぽい膜が「クモ膜」です。

 

この「クモ膜」の下で、例えば脳動脈瘤(動脈のコブ)が出血したとします。すると、クモ膜の下に血液がプールされます。だんだん脳が血で圧迫されるため、機能が止まってしまうのです。

 

②クモ状血管腫

主に、肝硬変などで生じます。小さい毛細血管が広がり、それが皮膚から透けて見えてしまいます。特徴的な「クモの足のような、血管の走行」がみられるため、こう呼ばれます。

 

③クモ状指趾

マルファン症候群という、結合組織の疾患があります。いろいろな組織が、生まれつき「緩い」のです。その症状の一つに、指が長くなる点があります。その特徴的な指の長さを、クモの足に例えたわけですね。

 

 

・チョウ

①蝶形骨

こちらは病名では、ありません。人間の顔の一部を構成する骨に「蝶形骨」というものがあります。「チョウの羽を広げた」ような形の骨です。この骨のなかには「蝶形骨洞」という、スカスカの空洞があります。

 

②蝶形紅斑

全身性エリテマトーデスという、膠原病での皮膚症状です。この病気の患者さんは、日光や外部刺激に弱くなります。そのため、おもに日光のあたる鼻の周りに、皮疹が出ます。その形が、これまた「チョウの羽を広げた」ような見た目ですので、こう呼ばれます。

 

 

・蜂

①乳突蜂巣

病名では、ありません。中耳の近くを取り囲んでいる、骨でできたスポンジです。スカスカしている様が、「ハチの巣」を思わせるので、こう命名されました。炎症が起きることもあります。

 

②蜂巣肺

間質性肺炎という病気があります。「普通の肺炎と、違うのか?」って話になりますよね。「普通の肺炎」とは少し異なり、免疫システムが絡むような肺炎です。

 

この肺炎を、CT(画像撮影の装置)で詳細に観察すると、特徴的な「ハチの巣」のような画像がとれます。ボツボツしたような、特徴的な絵になります。

 

③蜂巣炎

おなじ「蜂巣」と名前がついていますが、こちらは肺の病気ではありません。皮膚の病気です。厳密には、皮膚の下にある組織の炎症になります。炎症のある部位は、モヤっとした赤い皮膚色になります。

 

いろいろと調べたのですが、なぜ「蜂巣」とされるのか、謎です。すみません。

 

 

・蚊

飛蚊症

こちらも、テレビなどで紹介されることも多いです。ご存じの方も、多いかも。

 

網膜剥離などで、生じます。網膜がはがれますと、はがれた組織の一部が眼球のなか(硝子体という水っぽい空間)を漂います。うまく吸収されるケースもあるのですが、はがれた組織が大きかったりしますと吸収されにくいです。この浮かんでいる組織が光にあたると、組織が網膜に「投影」されます。

 

そのため、この状態にある人は、文字どおり「蚊が飛んでいる」ように見えてしまいます。白い壁などを見ると、とくに「蚊や糸くず」が見えやすいと言われます。

 

 

・まとめ

いろいろと思い返してみましたが、上の4つの「虫」が、すぐに思い出せました。

 

ぱっと見の印象を、昔の人も重視していたのが、わかりました。

 

 

語郎