有給医のライフハック記録

医師の語る人生最適化戦略

うつ病と、人の根源的な悩み

 

 

 

コロナのストレス

感染症の流行するまえから、「うつ病」をはじめとする心の病気は、日本で増えています。厚生労働省の指定する5大疾病のなかに、精神疾患が含まれております。今後は世界的な不景気も予想されておりますから、さらに患者さんが増えるかも知れません。なおのこと関心のある領域だと思います。

 

 

 

うつ病は幅広い・・・

「コロナうつ」といったタームが、よく聞かれます。正確な医学用語かどうか、ちょっと分かりません。ですが、社会情勢を反映している分かりやすい単語だと思います。

 

ひとことに「うつ病」といっても、とても裾野が広い概念です。ここで詳しく書いても、まとまりが悪くなる可能性が高いのです。

 

ですので、ちょっとナイーブな話題ではありますが、重症化した「うつ病」に特徴的な症状と人の悩みを、考察できればと。そのあたりを、ご紹介しようと思います。学生時代から「不思議な概念だなぁ」と思っていた事項でございます。

 

 

 

3大妄想

医学的な意味での「妄想」とは、「事実ではないにも関わらず、事実だと思い込んでしまう訂正不能な思い込み」を指します。とても文学的というか、つかみにくい概念です。

 

さて。「うつ病」でも、特に有名で特徴的な「妄想」が存在しています。国家試験などでも、よく取り上げられる重要なテーマになります。具体例を交えて、まとめます。

 

①心気妄想

実際には体の病気ではないのに、なにか重たい病気であると思い込む。「自分は、いま末期がんに侵されていて、余命も短いのではないか」など。

 

罪業妄想

なにか悪いことをしてしまったのではないか、と思い込む。「自分はとても重たい罪を背負っている。罰を受けるだろう」など。

 

③貧困妄想

実際には、貯金があるにも関わらず、まったくお金がないと思い込む。「貯金もないし、資産もなくなってしまった」など。

 


上記のように、①から③までが大きな概念です。もちろん、一人の患者さんに、すべてが揃うわけでもありません。ですが重症の「うつ病」の患者さんの場合、わりあい出やすいと思います。

 

個人名は差し控えますが、有名芸能人で、患った方がおりました。闘病の様子について、テレビのドキュメンタリーを見させていただいたのですが、③の症状が強く出ておりました。芸能人でお金も十分あると思われるのですが、「お金がない」と病める本人は苦しんでおられたみたいです。

 

 

 

究極の悩み

①~③の妄想について、僕としては「人としての根源的な悩みが、体現した状態」であると考えています。

 

テレビに出られる有名人ですら、ひどい場合には③のような症状で苦しむわけです。ここまでくると、人間というのは、かたちはどうあれ「病気・金銭・犯罪」について、どこまでも悩みつづける存在なのではないか、と考えさせられます

 

もともと、そうやって刷り込まれているのでしょうか。謎です。ちょっと、哲学チックになってしまいました。

 

 

語郎