有給医のライフハック記録

医師の語る人生最適化戦略

「採血で、貧血」してしまうあなたへ。有効な方法をご紹介。

  

 

1.採血で、貧血?

小学生のころの採血で、気分が悪くなったことがある。アレルギーだか何かの自費検査で、採血管7本ほどだったと思う。採血される前から、たくさんの採血管を見て、ひるんでしまった。怖くなった。突然7本の採血を実施されて、終わったあとに気が遠くなった。

 

 

健康診断などで採血された際に、同じように、気が遠くなるような具合の悪さを感じた人はいるだろうか。あるいは、長時間立ちっぱなしのシチュエーションで、意識が遠くなった経験のある方。意外と多いと思う。

 

 

この現象について、「貧血になった」と解釈する人が多い。果たして本当に「貧血」なのだろうか。そもそも貧血とは、血液の中のヘモグロビン濃度が減少している状態をさす用語。人間の血液量は、60kgの人で4.6Lほど、50kgの人でも3.8Lほどだ。病気をお持ちの方なら、いざ知らず。たかが10mL程度の出血で、健康な人が貧血にならないのは、感覚的にお分かりだろう。

 

 

2.正体は血管迷走神経反射であることが多い

この現象は血管迷走神経反射と呼ばれる、ある種の防御反応なのである。採血などの痛み、立ちっぱなしの状況、排便や排尿、強いストレスなどが、この反応を呼び起こす。先に挙げたような、負荷がかかる状況に人が置かれると、それを緩和するために迷走神経(リラックスさせる神経回路)が過剰反応してしまう。すると、血管が拡張したり、心拍数が下がったりする。最終的に、脳への血流が乏しくなり、気が遠くなるわけだ。

 

 

痛みへの反応が強い人は、なりやすい。睡眠不足や脱水傾向になる夏場など、体調を崩しやすいシチュエーションでも誘発されやすいものだ。

 

 

3.その対策

このメカニズムで生じる「気の遠くなる感じ」への対策としては、脳への血流を保つことである。

 

 

採血の際には、事前に気分が悪くなりやすいことを伝えるとよい。我慢して、気を失い後ろへ転倒でもすれば、それこそケガをする。事前に報告すれば、横になって採血を受けられる。横になれば、脳血流量は一定に確保される。心臓から脳への血流が、座っている時と比べて重力の影響を受けにくくなるため、負担が軽くなるのだ。僕も横の体勢ならば、とても楽に受けられる。

 

 

また、脳への血流を保つために、脚に力を入れて、力むと良い。足に踏ん張る力を効かせるのだ。この圧力によって、脚へ流れる血液の一部を、上半身にプールできるため、脳への血流を保つことにつながる。血管迷走神経反射の予防に有効な力の入れ方なのだ。

 

 

語郎