有給医のライフハック記録

医師の語る人生最適化戦略

夏場、とくに注意。蚊の媒介する感染症。蚊の発生源には要注意。

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  1. 怖い生物
  2. 事例・感染経路
  3. 治療・蚊の発生対策

 

1.怖い生物

人類にとって、一番の脅威となる生物をご存じだろうか。ここでいう脅威とは、人類をどれだけ殺めたのか、という意味である。サメに襲われた人、ライオンに食われた人、ゴリラに殴られて亡くなった人、とそれなりにいらっしゃると思う。だが、ダントツの1位は蚊である。蚊によって、1年間に世界で70万人近くが亡くなっている。

 

 

勘がよい方ならお分かりだろう。蚊は人類にとって脅威となる様々な感染症を媒介するのである。ウエストナイル熱、黄熱病、ジカウイルス感染症チクングニア熱デング熱日本脳炎マラリア、などなど。だいぶ沢山ある。

 

 

2.事例・感染経路

・2014年に、日本でデング熱の国内感染事例が判明し、騒ぎになった。代々木公園でおどろおどろしい防護服の人が消毒作業をする光景は、記憶に新しい。

・2015年には、アメリカ大陸でジカ熱が流行。妊婦が感染すると、小頭症の子供が生まれる可能性が疑われ、これまた騒ぎになった。

・概念として、「エアポート・マラリア」がある。マラリア流行地から、病気を運ぶ蚊が、飛行機の荷物にまぎれて他国へ侵入。空港のそばに住む人を刺して、感染させる症例の総称である。

このように、感染症事例が散発している。

 

 

蚊が感染症を媒介するメカニズムについては、B型肝炎C型肝炎などの「血液感染」とは異なっている。感染した人間の血を介するわけではない。蚊の唾液腺に病原体が集積し、そこから蚊の唾液を介して感染する。特徴的な感染形式である。

 

 

 

3.治療・蚊の発生対策

日本脳炎にはワクチンがあり、マラリアには抗マラリア薬がある。それ以外の感染症については、根本的な治療法はない。対症療法がメインとなる。

 

根本的な治療法がないため、蚊にさされない対策が重要なのだ。夏場になると、蚊は活発になってくる。刺されないために、野山に入るときには、しっかり肌を隠す。蚊を避けるスプレーも有効だ。また、とにかく蚊を発生させないような対策が大切になってくる。よく発生する場所として、以下が知られる。

 

・水が入った空き缶・空きビン

・植木鉢の皿の水たまり

・湿地

 

水がある場所に、蚊あり。成虫が水面に卵を産み付ける。幼虫はよく知られるボウフラである。水中で生活する。ボウフラがサナギ状態のオニボウフラとなり、水面から成虫として出てくる。

 

このサイクルの根元は、水である。アゲハチョウでいうところの、ミカンの葉にあたる。昆虫の生活環を理解すれば、根本対策が見つかるのである。

 

コロナウイルスだけが恐ろしい感染症ではない。昆虫飼育人をしている僕としては、昆虫媒介感染症にも注意が必要である。

 

語郎