有給医のライフハック記録

医師の語る人生最適化戦略

医師にもある転勤制度。個人的に困ること、4つ。

f:id:kataroh:20200630205823j:plain

転勤制度。社会人になり、その存在を知って衝撃を受けた。自分が希望もしていないのに、慣れない場所での勤務を強いられる。住んでいる場所から通勤圏内の事業所への転勤ならまだ良いが、引っ越しを伴うと大変だ。仕事と並行して、引っ越しの準備もしなくてはならない。

 

 

 

企業でよく言われるのは、「マイホームを購入すると転勤させられる」といったものだ。長期間の住宅ローンを組むため、そう簡単には会社を辞められない。そういった心理を利用して遠隔地の勤務を命じるらしい。もちろん、単純に転勤のタイミングが家の購入と一致したケースもあるだろうから、一概にはいえないが。

 

 

「転勤制度自体が、ある種の人権侵害ではないか」とする向きもあるようだ。民間企業のほうがその点には敏感なようで、エリア職採用もある。希望しない転勤は極力させない方向に向かっている様子だ。素晴らしい。

 

 

そういう風向きのなか、相変わらず古い体質の医療業界。あまり知られていないが、医師は超・超・転勤族である。鬼のような勢いで毎年引っ越ししている。毎年にとどまらず、酷いと数カ月に一度引っ越しするような猛者もいる。先日、「東京都(1年)→神奈川県(6カ月)→静岡県(6カ月)→山梨県(3カ月)」という外科系研修医と遭遇した。引っ越しの研修状態である。

 

 

民間病院勤務ではあまり聞かない。大学所属の医師のほうが転勤が顕著だ。東京都内の大学に所属していても、人事の都合により遠隔地で勤務することはザラである。遠隔地の施設は人手不足が常態化しているため、都心で経験を積ませた若手医師をあてがう事情がある。

 

 

ひと昔前までは大学所属していなければ無関係だったのだが、新専門医制度というルールが発足してからは事情が変わった。「色々な施設で臨床経験を積むべきであり、同じ施設に勤続は出来ない。数年のうちに必ず研修施設を変える義務がある」というもの。そう、転勤制度が明文化された形になったのだ。若手は大抵この制度で研修をするため、必然的にみな転勤することになった。なお、転勤するときには一度退職になる。施設を退職して、次の施設に向かうのだ。

 

 

転勤制度の個人的に困る問題点を列挙する。以下の通り。

  1. 単純に面倒くさい。
  2. 健康保険もリセットになる。
  3. 退職金でも不利を強いられる。
  4. 患者ー医師関係にも影響がでる。

 

1.単純に面倒くさい。

もうこれ、ほんとこれ。単純に面倒くさい。仕事の合間に書類を出すのは面倒くさいだろう。

 

2.健康保険もリセットになる。

書類が増えるため大変だ。保険が変わるのは抵抗がある。

 

3.退職金でも不利を強いられる。

先ほども書いたとおり、一度退職の扱いになる。そのため、医師歴が長くても施設としては長期に所属した扱いにならない。施設としては経費が浮いて有難いだろうが、医師としてはたまらないだろう。

 

4.患者ー医師関係にも影響がでる。

個人的に一番困った点だと思う。患者さんにしてみれば、突然いなくなったように感じることもあるようだ。医療機関に対する不信感をもつ方もいた。

 

とまあ、色々とある。

 

 

特段の解決策が思い当たらない。制度が明文化しているため、逆らおうにも逆らえないのだ。

 

語郎