僕の苗字は少しややこしい。女性の下の名前にも普通にみられるため、色々な場面で苦労したものだ。今までの人生でも頻繁にイジられてきた。特に社会人になってからが顕著だった。日本全国でいえば多い部類の苗字らしいのだが、なかなか同じ苗字の人に会わない。どこかに集中して住んでいるのかも知れない。
例えばこんな具合である。
「珍しいねえ、苗字。なんか、女の子の名前みたいだね。ははは」。
「その苗字だと、結婚する相手の女の子の名前に注意しないとね」。
ころころと働く部門が変わるために、毎度毎度、周りの人にイジられていた。特に男性の上司にイジられることが多かった気がする。もう慣れっこなので特段気にはしていなかったが。
苗字が名前のようで悩んでいる方は、意外にも多くいらっしゃるようだ。自己紹介の時は特にややこしいかも知れない。普通に苗字を名乗ったつもりでも、下の名前を言っているように勘違いされることもあるからだ。ややこしいのである。
僕の場合は合コンで苦労した。例によって苗字を名乗っているつもりでも、名前を名乗っていると取られることがあった。女性の自己紹介の場合には、ほとんどが名前を名乗るだろう。しかし男性の場合がややこしい。苗字を名乗るか、それとも名前を言ってしまうのか、人によって異なることが多いように感じる。解決策、というか、対応策を実践している。ちなみに合コンの現場でのみ効果を発揮する。
最初に下の名前を言えば、確かに誤解される可能性は低いだろう。僕の名前は一般的な男性のそれであるため、誤解されることはまずない。ただしインパクトに欠けるし、いきなり名前を名乗るのは何となく気恥ずかしく思ってしまう。
そこで、最初から開き直って苗字を名乗るのだ。いきなり珍しい、変わった苗字を披露してしまう。加えて自分から「よく女の子の名前みたいってイジられるんだよね」と自己開示してしまう。すると、意外にも参加者たちの反応は良好なのだ。
「へえー!初めて聞きました。その苗字。面白いですね」といったものや、「なんか綺麗な苗字ですね。羨ましいです」と良い反応を得られたことがあった。相変わらず男性陣からはイジられることが多いが、女性受けは良いのだ。
自分が長く悩んでいることが、意外なアピールポイントになりうることを体験した。別に名前だけにあてはまらないことかも知れない。弱点だと感じていることを、むしろ武器にしてしまう。別の方向から攻めていく姿勢が大切だ。合コンで学んだのである。
語郎