有給医のライフハック記録

医師の語る人生最適化戦略

有給医の考える、無給医問題の解決策とは・・・

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無給医問題については、今まで敢えて触れて来なかった。テーマとして重過ぎる。だが、必ずどこかのタイミングで振り返っておこうと思っていた。現時点で自分が考えている事を備忘録として記載しようと思う。なお、この問題については様々な人がいろんなことを言っている。あくまで一意見として記載する。

 

そもそも、無給医とはなんだろうか。ネットで検索すれば、概ね以下のような記載を目にするだろう。

「なんらかの事情により、病院から正当な給与が支払われていない医師」幻冬舎ゴールドオンライン人気記事より抜粋)

なんらかの事情とは、例えば専門医取得や学位取得、或いは自主学習などである。かなり曖昧であり、定義付けは困難かも知れない。この定義付けに沿えば、必ずしも大学限定の話ではない。市中病院でも同様のことが全くないとも言えないだろう。まあ、平たく言えば「ピンハネされている医者」の事だ。あまりにも残業代が出ない、などもこれに該当するかも知れない。

 

さて、僕が考えるこの問題の解決策である。軽くまとめる。

  1. 外的な要因による解決は全く期待できない。
  2. 個人が自助努力するしかない。

簡潔に示した。僕の持ちうる知識を動員したが、根本的な解決策には程遠いのが現状と考えている。

 

この問題はネットニュースでの報道も多い。また現役の医者がメディアに登場して発言している事も多くなった。程度の差こそあれ、「医局が悪い。病院経営者が悪い。」といった内容に終始している。しかし、本当にそうなのだろうか。医局長を吊し上げれば解決するのだろうか。違うだろう。病院の経営は実際の所かなり悪いのだ。まともに全ての医者へ残業代を払うだけで、大赤字で債務超過に至るレベルだ。ある意味では医局や病院経営陣も被害者なのかも知れない。医局批判をして改善する問題ではない。

 

この問題は、日本の医療制度設計の根幹に関わるものなのだ。保険診療の医療費については国民皆保険制度で運営されており、ざっくり7割は税金なのだ。つまりある意味で医者は公務員のようなものなのだ。ただでさえ日本の財政問題が取り沙汰される中で、公務員に近い存在である末端の医者を厚遇するわけがない。しわ寄せが末端によるのは必至なのだ。

 

そう。だから上記1のようになる。いくら末端の医者が叫んだ所で、この国を設計している超エリートはダンマリを決め込むだろう。末端の医者程度が叫んでも声が届かないような、もっとドロドロしてエグイ世界があるのだ。そんなグロテスクな世界があるのだ。

 

だから僕は2を提言したい。自分の身は自分で守るのだ。おかしいと思ったら即座に逃げるのだ。それしかない。なので常に選択肢は沢山もっておいた方が良い。手札としての選択肢を広げておく。今いる場所に固執しない。流動的なものを受け入れるのだ。変化を恐れない。

 

それでも、一人の傍観者として、この問題の根本的解決を望む。

 

語郎