有給医のライフハック記録

医師の語る人生最適化戦略

自費診療は本当に儲かるのか。コモディティ化の観点から考察してみた。

 

 

 自費診療って、儲かるの?

「美容医療とかって、さぞや儲かっているんだろうなあ・・・。」

医療関係に明るい方や、そうでない方でも何となくイメージはあるかと思います。美容領域の懐具合についてのネタです。概ねそのイメージどおり、確かに儲かっているでしょう。実際、美容領域に進んだ方の年収を訪ねると、保険領域診療科とは倍以上の開きがあったりします。看護師の方の給料も、確かに高い。事実とみていいでしょうね。

 

ここでは”広い意味”での自由診療領域として考察を進めます。つまり、保険が通らない医業についての収益を主とする領域全般についてのお話。多岐にわたりますが美容皮膚科、美容外科、レーシック治療、不妊治療、美容歯科、特殊整形外科(骨延長術など)あたりを指しています。極端な話、保険で通っていなければ良いのであって、これらがすべてなわけではない事を断っておきますね。

 

ウハウハはいつまで? 

今後、このような領域はウハウハが続くのか?

「命を救う科目の方が大事だ!儲かるなんてとんでもない!」と青臭いことを言うつもりはありません。あくまで、経済学的な観点から考察したいのです。

 

助けになるのが、コモディティ化の概念。イメージで言うと、「最初よく切れたナイフでも、使いまくると切れ味がナマってくる」といった所です。以下、大まかなロジック。

  1. ある企業Aが商品を作るための画期的な技術革新を起こす。
  2. 企業Aは高品質なクオリティーの商品を大量生産できるようになった。
  3. 当然企業Aは儲かる。儲かりまくる。事業規模を拡大する。
  4. 同じ業界の企業B、Cが技術を学ぶ。技術者をヘッドハンティングすることもある。
  5. その業界では、素晴らしかった商品の大量生産が常識になる。
  6. 企業Aの儲けは薄くなる。
  7. 結局は価格競争になる。

資本主義のエンジン切れの終着点、つまり薄利多売に至るわけですね

 

値段は下がっている、っぽい

自由領域関連の”サービスの値段”を見ると、明らかに数年前と比較して低下しています。AGA治療のお値段でも数千円/月という陥落ぶり。以前は数万円はしていたはずでした。大手美容クリニック(上で言えば企業A)は全国展開を既に始めており、次のフェーズとしては価格を落として差別化してきています。いや、より正確に言えば”ゆくゆくは価格を下げることのみ”で勝負を仕掛けるしか、なくなってきます。そうなってくると、雇われる医者の年収も当然下落していくのではないでしょうか。

 

自分が考える、自由診療領域で勝ち残る方法論。簡単にコモディティ化できない領域の技術を身につければ、薄利多売の呪縛からは逃れられると考えています。レーザーだけ、薬を打つだけ、といった形式だと、ゆくゆくは詰むと思われます。といっても保険科目よりはおいしい時間は長いでしょうけれどね・・・。

 

語郎