有給医のライフハック記録

医師の語る人生最適化戦略

質問:「研修医が将来の専門科目を決める時って、迷うの? 」に答える。

 

質問

勤務先の事務員の人に、医学生の進路に関する質問を受けました。

 

ずばり「今の診療科目を選ぶ時って、迷うものなのですか? 」と。医学生の進路は謎が多いですから、当然わいてくる疑問でしょう。

 

僕の思うところを回答します。

 

回答

はい。たいていの研修医は迷います。僕も迷いました。めちゃくちゃ迷いながら最終的な進路を決めています。

学生時代から希望が変わらず、一直線に決まる人はあまり居ませんでした。そういう意思の固い人は研修医全体の5%くらい。95%は迷いまくりますね。

ただし。95%の人が優柔不断で意思が弱い、というわけでもなくて。希望が途中で変わるのも仕方ない事情があります。研修医期間には意思を揺さぶってくる外部環境、いうなれば「ノイズ」がめちゃくちゃ多いからなんですよね。

ノイズ1:勧誘

研修医の2年間はいろんな科目を回って研修します。最終的な進路を決める期限は2年目の終わりまで。

となると、当然ながら色んな科目を回るたびに、所属先の上司に「ぜひウチの科目に来てね!」と勧誘されます。言葉だけならまだマシで、エスカレートすると豪勢な食事で勧誘してくる部署も。

そうやってチヤホヤされると気持ちよくなってしまい、本来の希望がねじ曲げられる人が一定数発生するのです。これは代表的なノイズでして、引っかかる例が後を断ちません。

 

ノイズ2:研修を経て現実に目を覚ます

これもあるある。

学生時代から人生に情熱を燃やすアツい人に起きやすいケースです。学生の頃は「何となくのイメージ」で希望科目を思い描いています。実際には働いていないので仕方ない面はあるのですが、これではただの「妄想」です。「妄想」は現実で打ち砕かれます。

いざ勤務してみて、脳内イメージと現実とのギャップに悩み、そして悶絶します。悶絶に至った人は、やたらと楽な科目に行きがちだったりします。

 

一例を。学生時代から外科志望の同期がおりました。かなり妄想が強固でしたが、いざ現場をみたあとで「やっぱり、ゆるい科目に行く」と改造されてしまいました。いいのか悪いのか、でも彼にとっては決断がついて良かったのかも知れません。

 

ノイズ3: 家庭の事情

実家がクリニックを開業しており、なんとなく実家の診療科目に寄せがちだったり。はたまた、実家のクリニックの事情で診療科目を変えたり。

 

研修医当人にとっては全くもって不可抗力です。こういう事情がノイズになる人もいます。まあ継ぐ場所があるだけ恵まれているとも言えますけれども。本当はやりたくない科目だったとしたら、それはそれで惨劇だけれども。

 

ノイズ4:給料事情

ぶっちゃけ保険診療だと給料に大した違いはありません。しかし自費診療になってくると話が変わります。

 

脱毛クリニックだとか美容外科だとかの自費診療で高給を提示されて、そちらに寄せる人がいました。最近は目指す若手も増えているだとか。ノイズっちゃノイズかも。

 

まとめ

ノイズを完全に避けるのは無理ですが、ノイズのなかで自分の基準軸を見定めることが理想です。

 

 

語郎