有給医のライフハック記録

医師の語る人生最適化戦略

労働環境から見る、医師キャリアの”危うさ”②

 

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①に続き。

善意ある一部の若者たちが、既得権益層のために搾取される構造はいつの時代にも見受けられる。現代に限った話ではないし、そもそも医療業界だけの話でもない。どこにでもある話だ。業界に関与する者として、その体質について書き残しておきたいと思った。(以下、イメージがわき難い単語が出現するかもしれないが、ご了承いただきたい。今後、適宜概説していく。)

 

6年制の医学部を卒業し、医師免許を取得すれば、晴れて「医師」となる。そのままだとペーパードライバー状態であるから、ほぼ医師免許取得者の全員が初期研修という2年間のトレーニング課程に入る。それを修了すれば保険診療に従事できる状態へとステップアップできる。本来的な意味での修行は一区切り、であろう。

 

しかし、問題はこの後。保険診療に従事できたとして、専門的な診療技能は皆無なのだ。実質的には何もできない状態。真の意味でのトレーニング期間、専門的な手腕を鍛え上げる時期が待ち構えている。文句を言えず、ひたすら修行に明け暮れる。自身の待遇にも文句を言えない。そんな弱い立場の薄給・あるいは実質無給の者が多数蠢いている。昨今話題の、無給医の誕生である。

 

知らず知らずのうちに、長期的に見れば自分が損をするのは嫌だろう。誰だって嫌だ。なにか対応策、参考になる理論や哲学はないものだろうか。

 

 

 

 

カール・マルクスの『資本論』、ケインズの経済学理論などを参照されると良い。特に前者に関しては誤解されている方が多いので、軽く解説を。マルクスは元々新聞記者であり、当時の労働環境に関して研究していた経済学者だ。痛烈に当時の資本制生産様式を批判し、いずれは労働者の不満がマグマのごとく噴出し共産主義革命が起きるだろうと予言をした。しかし『資本論』の内容自体は現代の資本主義の大枠のモデルとして通用している。『資本論』の内容を解説すると膨大になるため、ここでの詳述は避ける。その手の分かりやすい解説本は多いので、ぜひ参照されたい。今後、当ブログでも経済学の名著を概説する記事を投稿していく。少しでも参考になれば幸甚である。

 

語郎