FIREムーブメント
最近やたらとFIREって単語を聞きます。経済的自立(financial independence)、早期退職(retire early)の頭文字をとってFIRE。若い人のあいだで流行っているそうで。僕はFIRE関係の書籍を読んだことがなくて、あまり持ち合わせの知識がありません。すみません。
「若いうちから貯金しまくり、あとは投資の運用益で生活する」ってのがFIREの基本形。貯金の目安は生活費の25倍だかで、たいていの人は5000万円あたりが目標。運用利回りは4%を想定していることが多いみたいで。この場合だと生活費は200万円に収めないといけません。このあたりのバリエーションは色々らしいですね。間違ってたらすいません。
FIREについての雑感
僕の思うところ。結論から。
会社員のケースだとムズそう、てか無理
「並の年収の、並の会社員なら、まず無理だろう」と。
若手で多額の貯金を目指すわけですよね。よほどの優良企業ならともかく、たいていは若手だと年収で500万円も乗らないでしょう。その状態で何千万という貯金が、そもそも無理な気が・・・。
ってか若手じゃなくても、貯金が何千万も貯まるのなんて、会社員人生の後半な気がします・・・。統計データみれば一目瞭然。
よしんば若くして何千万も貯まったとして、運用益を毎年4%で叩き出し続けるのも相当に難しいのではないでしょうか。いや、無理とは言わないですが、継続して回すのは大変かと。
出来なくはないが、ケースは限定される
FIRE自体がまったく実現不可能とは思いません。思いませんが、達成可能な状況はかなり限定されると考えます。
若手の平均年収を大きく上回る業界では、FIREに近づくでしょう。外資系金融業界では、若手で3000万円とかザラです。浮き沈みも激しいようですが、「浮いている」ときに貯金しまくれば若くして多額の貯金プールをもてます。
あとは、たまたま取り組んでいた副業が軌道にのり事業化できるほど稼いだようなケース。うまいこと税制上の優遇を受け、節税して貯金が増えるかもしれません。
いずれにしても「フツーの会社員がFIRE目指して頑張る!」って状況ではありません。一芸あるような特殊な状況の人が「結果的に」FIREできるというのはありうるかと。
FIREムーブメントの本質
この不況ですから仕方ないのでしょうけれど。心のどこかで現在の境遇に不満があって、FIREに夢見て、のめり込むのかもしれない。
現在の境遇が不満なら、まずそこにテコ入れするほうが、手っ取り早いケースもありそうです。下手にFIREをめざすのではなくて、今の仕事が嫌なら長続きできそうな業務に転職したり。いっそ住む場所をかえたり、実家に移って共同生活をしてみたり。貯金を何千万も作るよりは、現実的じゃないかしら。
FIREにまつわる、ひとつの懸念
若手の市民権を得た単語なので、悪い方向に使われることは懸念材料です。「FIRE×仮想通貨、資産運用」とか「FIRE×オンラインサロン」とか。なかには健全な内容もあるでしょうが、FIREにあやかった悪徳な情報商材屋は今後も増えてきそうです。
境遇に不満がある人は、FIREなどの自己啓発色の強いパワーワードに引っ張られてしまいがち。特に気持ちが弱っている時は、耳ざわりのよい単語に心を揺さぶられてしまいます。自己啓発の脳内麻薬でラリってしまい、妙に気持ち良くなっているので、冷静な判断ができず、変な情報商材にお金を使ってしまうと惨劇。ますます、お金が減ることに・・・。
食い止めようにも、とどまらず
でもほら。こうやって、希望を諌めるような内容ってウケが悪いでしょう。自分でも分かってますけども。
「うまい話には裏がある、気をつけなさい」っていうお婆ちゃんの警告より、「一緒に努力して、夢つかもうぜ!」っていう自称成功者の煽りのほうが響きますから。
だから、煽るようなFIRE商材が増えてしまうんでしょう。
って思います。
語郎