オレゴン・ルールを理解する
突然ですが、オレゴン・ルールをご存じでしょうか??? 一見すると、スポーツに関するルールみたいな名前ですよね。この聞き覚えのないであろうルールは、医療体制の問題を鋭く突いた、本質的な問いなのです。これだけを理解すれば、おそらく、医療体制の根本を知ることができるでしょう。
詳しく記録してゆきます。
アメリカのオレゴン州の保健局で考えられた、医療体制についての概念のことです。医療経済システムを知るうえでは、把握しておきたい概念になります。
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1.「どこでも受けられる医療」・・・・フリーアクセス
2.「質の高い医療」・・・専門医療の提供
3.「安い医療」・・・日本でいうところの、保険診療
3つのうち、国民が追及できるのは2つまで。残る1つは、犠牲にしないといけない。無理やり3つを同時に成立させるのは難しく、無理に成立させようとすると医療機関にガタがきてしまう。
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上記が、オレゴンルールです。
「駅近にあって、美味くて、安い!」。こういうのは、チェーン経営の飲食店でありがちなフレーズです。このようなスタイルを医療現場で実現するのは、きわめて困難というか、無理という話です。
日本の現状
日本ですと、3つの条件を、むりくり成立させちゃっているのが現状です。先に書いたルールを、当てはめてみます。
ルール1:かかりつけ(地域で主に診察をうける医療機関)をつくる流れではありますが、基本的には日本全国どこでも受診できます。まさにフリーです。
ルール2:みな、それなりに修練をつんでいるハズです。やたらと医者のほうが資格やら学位やらを欲するため、一定の質は自然と保たれているでしょう。
ルール3:利用者(患者さん)としては、値段が安い。基本的には、自費診療でなければ、3割負担のみです。高額医療費を国が支える仕組みもあって、手厚いです。
まあ、思いっきりオレゴンルールに、反している状態です。もちろん、オレゴン・ルールが全てではありません。思考のフレームワークとして、有名というだけです。
ルールにのっとって、できること
また、さきのルールに照らしてみます。
ルール1: 住所と医療機関を紐づけるような仕掛けが必要かも知れません。基本は地域内で完結するのが望ましいでしょう。
ルール2:出来る医療の範囲を、医療機関ごとに明示できること。医療側も、「なんでも屋」のようにならないこと。あれやこれやと「安請け合い」しないことでしょうか。あとは事務作業の分業化を進めること。
ルール3:いきなりは難しいでしょうが、段階的にでも、自費診療と保険診療を抱き合わせできるようにするとよいかも知れません。
今の医療崩壊の根っこについても、こういった理屈でフィルターをかければ、ちょいと本質が見えてくるでしょう。
語郎