働いても給料が増えない・・・
「こんなに残業ばかりしているのに、給料が増えない!」と不満に思う方は、多いでしょう。昔からよくある、社会人のテーマ的なやつです。こういったネタは、どの業界にもあるでしょう。僕の住む医療界にも、「無給医」という種族がおります。そうです、どの業種や業界にも、「頑張っても、お金が増えない状況」があるんです。
なにゆえ、頑張って働いても、給料が増えないのか。よく考えてみたら理不尽で嫌な話だと思いませんか。この嫌な状況については「給料の値段の決まり方」を理解すれば、多少は理解できるようになるでしょう。世渡りも有利になる。
基本、マルクスの資本論をベースにした話になります。興味あれば、冒頭のリンクの書評録もご覧ください。
資本論の商品モデル
昔、マルクスという、経済学者がおりました。マルクスは「経済とは、商品の集合体」という大まかなイメージで、理論を構築してゆきます。資本主義社会では、商品がより集まって、実態がつくられているといったのです。
さて、この商品のお値段なのですが、これを決める基本ルールがあります。それは、「商品の値段は、それを作るのに要した労力により決まる」というルール。簡単な商品を作った場合には、ちょっと安くつきます。しかし、たとえば車とか飛行機とか、おおがかりな商品は、相当に値段がはるわけですな。
労働力の「値段」
「じゃあ、給料の値段はどうやって決まるんだ」って話になります。ちょっと噛み砕いて考えると、給料ってのは、労働力の「値段」と考えることができます。
じゃあ、先のルールを当てはめてみることにしましょう。労働力の「値段」とは、どう定義できるのか。ずばり「労働力の値段は、それを作るのに要した労力により決まる」。
「労働力を作るのに、要した労力ってなんだ・・・」と、また謎にぶつかるかも知れませんが、さほど難しく考えなくても良いです。つまりは、「明日も元気に働くための、必要な経費」って事です。
ここまで来たら、答えは見えたでしょう。そうです、ざっくり言えば、給料の値段とは「衣食住や、ちょっとした気晴らし代」ってところに落ち着くのです。最低限の労働力を「作れる」だけの、経費ってわけですよ。決して、あなたを裕福にさせるためではないのです。
それでも、会社の給料が高い人はいるけど・・・
「いやいや、やっぱり保険会社の営業マンとか、鬼ほど給料高いでしょう」って、反論したくなるかも知れません。
たしかに、ごもっともな反論です。ただ、その場合でも、やはり基本ルールは同じなのです。結局のところ、給料が高い仕事は、それ相応のエネルギーが必要なのですね。
たとえば、営業マンですと、歩合では不安定になってしまいます。そういったリスクも織り込んだ設定になって、高給になっています。クレームも多かったりで、ストレス過多です。医者も同じ。とくに美容外科医は給料が良いかもしれませんが、それ相応の訴訟リスクやストレスも織り込まれているため、高給なんです。
結局のところ、会社で働いて稼ぐ給料は、体力消耗代と同値になります。 そういった基本ルールを押さえると、ただ会社に不満をいうのは、やや筋違いなのかも知れません。
語郎