有給医のライフハック記録

医師の語る人生最適化戦略

「離婚とお金」のケース・スタディー。コワい現実。

 

kataroh.hatenablog.com

 

以前、上記の記事で「離婚とお金」の問題を取り上げました。とても縁起でもない話なのですが、日本社会で生きるうえでは非常に重要なことです。

 

さて振り返りますが、忘れてはならない重要なルールがあって。一つは「山分けの原則」です。くわえて、「結婚前の資産は計上せず、結婚後の資産・年収を計上する」点です。詳しくは、トップにリンクしてある記事にくわしく記録しています。

 

この記事では、夫婦のケースを用いて、概説します。ちなみに、登場するケースは、現在円満な夫婦生活をいとなんでおられます。とても幸せそうで、まず離婚などしないでしょう。しかし、「離婚とお金」を考えるうえで非常にイメージが湧きやすいため、取り上げます。

 

なお、ご本人が特定されないように、脚色は加えてあります。細かい数字も、丸めてあります。あくまで「イメージ喚起のサンプル」としてお読みいただけると幸いです。

 

 

・ケース提示

夫:37歳。貧しい家庭に育った。ご両親は、とくに不動産などの固定資産をお持ちではない。猛勉強して、有名国立大学医学部に進学。医師となったあとは、多忙に勤務しており、ぼちぼち開業する予定。年収は2000万円ほど。

 

妻:35歳。ご両親は資産家で、都内を中心としてテナントビルを多数保有。その家賃収入は、かなりの額になっているそう。専業主婦として家庭を守っている。ご主人とは、学生時代からの付き合い。

 

子:なし

 

細かい部分は隠してあり、多少は数字をイジっております。が、おおむね、上に記載したとおりのプロフィールです。

 

 

・離婚した場合

仮に、婚姻後10年で離婚されたとします(あくまで、仮定のはなしです)。また、その社会的状況を差別するつもりは毛頭ございません。起こりうる話として、お示しするものです。

 

世間一般のイメージは、次のようになるでしょう。「奥様のご両親は、確かに資産家だよな。実際に家賃収入だけで、生活しているみたいだし。旦那様のご家庭のほうは、苦しそうな印象だ。事実、お子さんは猛勉強されたみたいだし、学費もやっとだったのだろう。やっぱり、離婚する事態になれば、奥様のご家庭に負担の傾斜をかけるべきだろう」と。

 

そう考えたくなる気持ちも、大変分かるのですが。現実は過酷なのです。

 

 

・現実には・・・

このケースの場合、いざ離婚に至った場合には、旦那様の負担が「非常に」重くなります。ほぼ、旦那様の持ち出しになります。

 

まずそもそも、離婚の根本原因は断定できない「水掛け論」になりがちです。一方的に奥様が悪ければ話は別ですが、そうでなければ責任の所在は曖昧になります。いつものとおり、考察は「山分けの原則」に則ります。

 

まず、いくら奥様の「ご両親」が資産を持っていようと、離婚に関する費用算定では、いっさい不問です。家賃収入は奥様の「ご両親」に入り、また固定資産の所有者は「ご両親」のため、一切査定されないのです。

 

「婚姻してから、夫婦でいくらの資産を作り上げ、いくら稼いだのか」がキモです。ここがキモ。この場合、奥様は働いておりませんので、旦那様の収入2000万に対して、矛先が向きます。

 

www.courts.go.jp

 

上記の裁判所のHPを参照ください。このケースの婚姻費用では、表10が適用されます。色分けの図を見ますと、月に30万円以上を「旦那様」が婚姻費用として負担する形になります。奥様が働いていないため、収入の差分が大きくなり、このような試算になるのです。

 

・結論

法律上は、「お金持ちのお嬢様のご家庭から、分けて頂く」形にはならないのです。こうやって、世間一般の理性とかみ合わないことが、法律では起きてしまいます。おー、コワい。

 

 

語郎