有給医のライフハック記録

医師の語る人生最適化戦略

4つの年次を軸にした、医師キャリア用語のまとめ。医療業界に詳しくない、あなたへ。

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このブログに記載されている医師のキャリアに関する内容は、医学生・研修医であれば、知っている内容のことが多いかもしれない。あらためて内部事情に明るくない方に向けて、一般的なキャリアコースをまとめて記録したい。

 

 

たびたび「無給医」だったり、「大学院生」だったりと理解しがたいワードが勃発していたと思うので、年次を軸にして、まとめておこうと思ったわけである。記載されている年齢については、最短を想定している。

 

  1. 医学部医学科入学~卒業:18歳~24歳
  2. 初期研修課程 2年間:24歳~26歳
  3. 後期研修課程 年数は科目によりけり。3年間~5年間:26歳~30代前半
  4. 大学院生課程 4年間:30代半ば

 

 

1.医学部医学科入学~卒業:18歳~24歳

大学の医学部医学科に入学する。全過程は6年間である。必修科目が多いため、試験勉強がお留守になると、留年の危機。それぞれの年次での勉強内容は以下の通り。

  • 1年目:一般教養・・・物理や化学や数学など、高校の延長。
  • 2年目:基礎医学・・・解剖学や生化学など、診察のベースになる科学。
  • 3年目:臨床医学・・・診察の学問。内科や外科や小児科など、いわゆる医学。
  • 4年目:臨床医学に加えて、今までの総まとめの時期。
  • 5年目:病院実習・・・病院に出向いて、実習する。
  • 6年目:総まとめ

大学にもよりけりだが、概ねこのモデルが一般的だ。ちなみに4年目の終わりには、病院に出れる知識を有するのか、全国一律の査定試験がある。落ちると勿論留年。

 

6年目が少しややこしい。6年目には卒業試験なるものがあって、それにより「この学生は国家試験に受かるだろう」と判断されれば、晴れて卒業となる。医師国家試験は医学部卒業が見込まれる人間か、医学部既卒の人間しか受けられない。

 

「こいつ怪しいな」という学生は、そもそも大学を卒業させてもらえない。つまり国家試験を受けられない。ある種のブロック機能がついているのだ。

 

この大変な試験の準備の最中に、初期研修病院を決める就職活動を行うのだ。どこで研修を送るのか、自由に決められる。マッチングといって、病院側と医学部生のお見合いの仕組みがある。普通にやっていれば、就職先がないという事態には至らない。だが人気の施設は、応募も多く、倍率が高い。その点は企業の就職と同じではある。

 

2.初期研修課程 2年間:24歳~26歳

無事6年間の課程を終えて、国家試験に受かれば、医師免許を入手できる。その資格をもって、病院へ就職する。就職後の2年間は、研修期間として定められている。

 

ころころと、色々な診療科目を回る。さして興味がなくても、回る。レポートを作ったり、ちゃんと出勤しないと、単位を得られず、課程を修了できない。

 

この初期研修を終えていないと、「保険診療」を行える医師にはなれない。国が定めた大事な課程である。無事修了すれば、「保険診療」が行える医師となり、バイトの幅が広がる。

 

3.後期研修課程 年数は科目によりけり。3年間~5年間:26歳~30代前半

いよいよ自分の専門科目を決める時期になる。科目に分かれて、みっちりと研修を行う。診療科目毎に、研修の年数はバラバラだ。短いと3年、長いと5年程度だ。最近は新専門研修制度が発足し、それに応じた研修となる。

 

なお、この課程は「国は定めていない」特段に義務化された課程ではない。やるも、やらぬも、自由。

 

この課程を修了すれば、「専門医」の資格を入手できる。この「専門医」は、取得しても病院の収益には、ならない。キャリアの担保のために、若手は死にモノ狂いで取ろうとする。

 

4.大学院生課程 4年間:30代半ば

「医学博士」を取得するために、大学院に進学して取得する。希望者だけ、進学するコースである。上記の後期研修課程と同時期に進学することもできる。この課程では学生扱いのため、学費を給料から天引きされてしまう。鬼のように働き、給料から天引きされる。天引きされ過ぎて、時給が最低賃金以下の種族を「無給医」と一般に呼ぶ。メディアに出てくる無給で可哀そうなお医者さんは、大抵はここにあたる。

 

 

上記の1~4が若手のキャリアコースである。それ以降は開業する、地域の病院に残る、大学に残る、行政機関へ就職する、などなど。実に様々である。

 

 

 

語郎