有給医のライフハック記録

医師の語る人生最適化戦略

神戸の専攻医の過労自殺について思うこと

 

専攻医の過労自殺の件

先日、専攻医の過労自殺のニュースが飛び込んできました。

亡くなったのは2022年だそうで、約1年経ってからのリークでした。

 

ディテールについてはニュース記事を見て下さい。

(煩雑になるのでこちらでは解説はしません。)

 

ちなみに「専攻医」ってのは、

「初期研修(いろんな科目を回るやつ)」の次の過程、

つまり医者3年目で専門科目を決定し修行している若手医師です。

 

お察しの良い方なら、この時点で「あっ・・・・」って感じですよね。

 

問題の根幹

思うこと、って題にしましたが、本当にいろいろありすぎて、

まとまりがなくなりそうなので、絞っていきますが・・・。

 

・環境要素 → 業界体質

・個人要素 → 専攻医個人でできること

 

に無理やり分解してまとめます。

 

病院の若手に限った話でもないので、そこは読み替えてもらえれば。

 

・環境要素 → 業界体質

冒頭で記載のとおり、医者3年目の修行期間は、

まさに一番大変な時期なんですよね。

 

 

初期研修医の場合には「あっ、自分、研修医なんで(てへ」

みたいに逃げ切れます。

そもそも短期間でいろんな科目を回るので、

ぶっちゃけ気に食わない科目でも2カ月後には、、、おさらば。

後腐れしません。

いろんな科目を「回る」疲れもあるにはあるのですが、

それでも「回る」ことに慣れてきて、かなり楽になってきます。

 

 

でも専門科目を決めたあとって、

「◯◯科医師 うんこ 太郎」みたいにネームプレートが貰えます。

それってやっぱりプレッシャーで。

逃げ場がないんですよね・・・。

 

専門研修プログラムの闇

最近になって(ちょうど僕の代あたりから)、

専門研修プログラムとかいう、

これまたしようもない、うんこ制度が発生しました。

 

都心部だと人気もあってなかなか就職できず、

一度プログラムに入ると事務作業が煩雑で容易に抜けられず。

 

こういう制度も地味に負担になっています。

 

・個人要素 → 専攻医個人でできること

結論、「初期研修の間で自分のストレス耐性を把握する」。

これにつきます。

 

亡くなった彼は神戸大卒で、かなり優秀な大学卒なんですよね。

 

今回の件に限りませんが、

いわゆる「良い大学」出身であることと、

「仕事への耐性」があることは、

さほど強い相関がないのかもって思います。

 

「仕事への耐性」って一口でいってもいろんな要素があって。

・マウンティング上司への巧い処世術

・その他、職場の人間関係を巧くとりもつ

・変な患者への対応

・連続当直、連続勤務

・事務作業(病歴要約など)

こういった能力・胆力といいますか、ステータスというのは、

「高校卒業時点の受験科目の学力」では推し量れないでしょう。

 

へんな話、

「自分をうまく”落として”上司を気持ちよくさせて、仕事を減らす」

っていうテクニック・演技力も、処世術としては非常に大事です。

(よくやっていました、僕は)

 

 

件の事件のあった職場で、

どういう経緯があったのかは不詳ですが、

少なくとも言えるのは「亡くなった彼は、当該科目に向いていなかった」。

それだけは確実です。

同じ病院、同じ診療科目で、楽しくやれている人も、

恐らく居るのです。

 

 

なので個人として取り得る自己防衛策としては、

忙しい科目を回ってみたときに、

「あ、これ無理やわ・・・」

って自分の心が泣いているのなら、

そういう人は、

大人しく美容皮膚科とかの楽な科目に進んだほうが良いよってことです。

AGAクリニックとか、ダイエットクリニックとか、老健とか。

「俺は優秀なんだ、日本の医療を守るんだ!!!ぬおーうおー」

とか思わなくていいです。

そういうマクロなことは行政、国会議員などに放り投げましょう。

 

いよいようつ病重篤化すると自己判断能力がなく、

病識がない抑うつ状態となり、

今回みたいに最悪、自殺します。

そういう人を沢山診てまいりましたので。

 

 

 

語郎