有給医のライフハック記録

医師の語る人生最適化戦略

セールス電話にホイホイ釣られる医者の話

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セールス電話に引っ掛かりやすい職業は何だろうか。知人の弁護士に聞いてみたところ、大手企業の正社員・公務員・医者が目立つとのことであった。特に医者は節税投資話のカモにされやすいそうだ。逆に弁護士や税理士は引っ掛かりにくい部類らしい。法律や税務に詳しいため、詐欺話には敏感で警戒心があるのだとか。今回は僕の目の前でセールス電話を受けた医者が、アポを取り付けてしまうまでの一部始終を目撃した話である。実話である。

 

事例1

医者1年目の夏であった。狭い研修医室に僕と男性同期1名がいて話をしていた。突然、その同期の院内PHSが鳴った。相手方の電話の声は聞こえないが、同期は次のようなことを言っていた。

「はい。ああ、そうですか。初めまして」。

「ええ。節税とか、ですね。なるほど、なるほど」。

「ええ、仕事はそうですね。だいたい夕方には終わるかと。近くのジョナサンで。僕の携帯は●●●-●●●●-●●●●です。分かりました。お願いします」。

途中で止めようかと思ったけれど、間に合わなかった。もうアポを取り付けてしまったようだ。ご丁寧に携帯番号まで教えていた。なぜ番号を教えたのか聞いてみた。

「だって。悪そうな感じじゃなかったからね。教えちゃまずかったかな」と笑って言っていた。

 

事例2

医者2年目の秋だった。医者4年目の先輩医師の外来に張り付く研修中のことであった。外来の合間に一息ついたところで、先輩医師のPHSが鳴る。因みにその先輩は物腰が柔らかい女性だ。電話の応答も感じが良い。

「どうもー。ええ。ええ。あ、そうなんですね」。

「節税ですか。分かりました。では後日、近くのタリーズで」。

瞬殺だった。ものの2、3の会話でアポをつけられてしまった。またしても止められなかった。

 

 

繰り返すが、フィクションではなく実話だ。しかも目の前で起こった。そして止められなかった。近い人たちが、(恐らく)有益とは言えない投資話に連れていかれた。申し訳なく、やるせない気持ちだった。アポに向かったとしても、上手いこと逃げ伸びていたと信じたい。事例1については、さらに不味いだろう。携帯番号を教えるのは今の時代で御法度だ。悪徳業者のカモリストに殿堂入りした可能性も否定できない。

 

もう少し警戒心をつけるべきではないだろうか。知らない人からセールスの電話がかかってきたら、警戒心マックスで対応すべきだ。怪しいと思って即座に切るのも良い。

 

医者は患者さんの訴えを直に聞き、困りごとに対応する仕事だ。相手の話す内容がある程度は事実だと織り込まないと、仕事が進まない。人を信じてなんぼ、みたな所がある。まさか相手方が自分を騙そうなどと思ってもいないのだ。

 

やたらとマニアックな治療ガイドラインや学会発表やらを好む傾向にあるのが医者だ。どんどん狭くて凝った内容に傾倒していく。だが、自戒も込めて、記録したい。決して忘れてはならない事。

 

人は簡単に他人を騙す。自分を守れるのは自分だけ。

 

次回以降で、そろそろ僕の投資理論・戦術もご紹介したい。

 

語郎