有給医のライフハック記録

医師の語る人生最適化戦略

相手を論破するための技巧 『レトリックと詭弁』

 

今月のノルマ4冊を読んだうち、
特によかった書籍をご紹介。

 

レトリックと詭弁-禁断の議論術講座

出版社:筑摩書房 、著者:香西秀信

おススメ度:★★★★★

 

もうタイトル名からしてカッコいいっす。

表紙も文庫本にしてはクール。

 

修辞学で有名な香西先生の書籍です。

この先生の書籍でいうと、

以前にもブログの書評録で「論より詭弁」を紹介しました。

 

詭弁、つまり人を言いくるめたり論破するための技術が

テーマの書籍です。

 

詭弁の技術を紹介するだけではなく、

有名な文学作品にみられる登場人物の詭弁が取り上げられているため、

読み物としても大変面白くて読みやすいです。

 

もちろん詭弁の悪用は厳禁ですが、

むしろ自己防衛の手段として、

読んだ日から使える知識が満載です。

 

概要

疑問文の攻撃性

議論において疑問文は強力・・・。

なぜなら、問いかけられた側は、

返答を暗に要求されるからです。

問いかけられたのに答えられないことは、

議論では敗北を意味します。


沈黙や返答に窮することは敗北なのです。

 

したがって、意図的に答えにくい質問を繰り出す技術が、

相手を言い負かすのには有効です。

 

本書籍でも内容の6割ほどは、

疑問文の作り方にあてられます。


議論の達人ほど詭弁は使えない

議論の達人同士の論戦においては、

「あなたは〇〇の詭弁を犯した」と突っ込まれて負けてしまうから、

らしいです。

修辞学的には、

それぞれの詭弁にご丁寧なことに名前がついているようなのです。

そのため、勝つためには詭弁を封じざるを得ない。

 

議論の上級者は、

「相手が詭弁を犯していないかどうか」と、

注意するらしいのです。

 

詭弁は禁じ手になっているわけで、

真の議論の達人は嫌でも論理的にならざるを得ない、と。

 

このあたり、

「ネットのパフォーマー」とは感覚が全く違うと思いました。

 

個人的見解

香西先生の本は大好きっす。

文章から知が滲み出ております。

 

国語、教育学の権威で、かつレトリックと論破の達人らしいです。

お亡くなりになられているのが大変残念です。

 

本書では論破の達人的な国語学者が紹介されているのですが、

これまた知的な論破といいますか、

理路整然とした物言いが美しいです。

 

ここのところ、修辞学自体に興味が湧いてきたので、

また関連書籍を紹介するかもです。

余談ですが、なんで近代化することで修辞学が消えてしまったのか、

不思議に思っています・・・。

すごく面白い学問だと思うのですが・・・・。

 

 

語郎