有給医のライフハック記録

医師の語る人生最適化戦略

コロナで大変な病院に限って、ジワジワ赤字になるワケ。

 

 

 

 

ボーナスカット問題

2020年の夏場、看護師さんのボーナスカットが話題になりました。「あれだけ働いて、どうしてボーナスカットになるのか」。同情する意見が多くみられました。

 

ボーナスカットになるのは、それ相応の理由で病院が赤字になっているからです。じつのところ、新型コロナウイルスの対応に追われた病院に限って、赤字になりやすいです。

 

なにゆえ病院が赤字になるのか。疑問に思う人もいらっしゃるでしょう。そのあたりの事情を、僕が見分したネタをもとに記録しようと思います。

 

結論をまとめます。「本来なら必要のなかった出費が増えるわりに、貴重な収入源が減っているから」です。以下、くわしく解説します。

 

 なお、ボーナスカットになっているのは、看護師さんに限りません。ボーナスが減らされたり、そもそも出なかったりする友人もいました。

 

 

収支バランス

今回の感染症の流行は、普段の病院の経営状態に少なくない影響を与えています。普段の経営にくわえて、予想していなかったファクターがのしかかっているわけです。


そこらへんの事情について、コロナの影響もからめて簡単に列挙します。

 

収入分野

①健診部門のストップ

自由診療の領域である健康診断。人間ドックは基本としては自費診療になりますから、公的な病院にとって「稼ぎ頭」なのです。

けっして不要不急というわけではありませんが、緊急で人間ドックを受ける事情も少ないです。つまり健診を受けたがる人が減り、キャンセルが目立っていました。

感染を恐れる人が増えると、ただちに受ける必要のない健診については、稼働が下がります。

 

②一般手術のストップ

たとえば眼科とか整形外科の手術。こういった「数をこなせる手術」部門は重宝される存在です。

こういった収益源として重要であっても、手術室での感染を抑えるために、手術件数を絞りがちになります。

回転の速い手術ができず、結果として稼働が悪くなってしまいます。

 

出費分野

①備品の使用が増える

マスクや手袋などなど。基本的には使い捨てです。コロナの患者さんにお会いするたびに、それらを着脱しなければなりません。

 

感染を防ぐための備品の使用が、どうしても増えてしまいます。病院としては想定外の出費なわけですね。

 

②人件費

普段なら家で休ませているところ、スタッフを駆り出す必要がでてきます。

 

「無給」という必殺技が大学にはありますが、民間の病院ではそうもいかず。結果として残業代やらで、人件費がかさんでしまうのです。

 

まとめ

病院もコロナで忙しいわりには、金銭的に潤っているわけではありません。こういった事情があったりします。

 

語郎