・生涯飼育家
「昆虫好き」といっても、成虫を捕まえたい派と、飼育して育成したい派に大別されると思っています。僕は圧倒的に飼育して育成したい派です。
ですので、アゲハチョウを育てることはあっても、「捕獲」することはありません。成虫の写真を撮ることはありますが、それも秒で逃がします。
幼虫についても同様で、僕としては「捕獲」しているつもりはありません。あくまで「保護」しており、成虫になったら手放します。そのスタイルが基本になっています。自然で揉まれる過程を、僕が設置する快適な環境で過ごしてもらうわけですね。
「いいご主人に拾ってもらって、幸せだよね。綺麗な葉っぱも沢山もらえるし、他の生物に襲われる心配もないし。写真も撮ってもらえるなんて」と、周りの人は仰います。
・たまにはフィールドワーク
そんな僕も、時にはフィールドに出て、アゲハチョウの成虫を追っかけることはあります。
春先から夏場に、近所の公園にいって、散歩がてら成虫を追っかけます。いきなり成虫を観察できるのが、フィールドワークの利点だと思います。飛翔している躍動感があって、感動的なのです。
以下、僕がフィールドで撮った写真を一つ、公開して記録します。ただ、写真を公開するだけですと、能が無いので、クイズ形式にして解説します。
※昆虫が苦手な方は、ここでブラウザバックを推奨します。
・これは、何アゲハでしょうか???
図1:明るいところ
図2:暗いところ
図3:正面
図1~図3は、すべて同じ個体になります。日のあたり具合と、観察の角度が微妙に違うだけです。
成虫状態しか知り得ませんから、「この個体が、なんていう種類のアゲハチョウなのか?」という当然発生する疑問について、情報が限られてくるのです。もし卵から飼育できていたとすれば、幼虫の模様なり、あるいはサナギの形なり、情報はいくらかあるわけです。
さて、そんな限られた情報で、如何にして同定するのか。この写真のケースは、比較的簡単です。
図1の、緑にくくった場所が、ちょうど胴体にあたります。ここが赤い色をしていた場合、「ジャコウアゲハ」という種類のアゲハチョウになります。ほぼほぼ、これだけで断定できるポイントです。これに加えて、羽の情報も重要です。羽をよくみると、黒い色味が薄い印象を受けます。もちろん飛行中の接触によって鱗粉がハゲる可能性はありますが。それにしても全体的に薄いです。これも「ジャコウアゲハ」の特徴と思います。
・観察のポイント
さきほどの解説のように、注目するポイントは限られてきます。
①胴体の印象
②羽の模様や色彩
このあたりで、判定してゆくのです。というか、成虫の判定ですと、ぶっちゃけこれくらいしか「手がかり」は無いです。
なぜ判定に、解説がいるのか。理由は簡単です。
黄色いアゲハチョウですと、種類も少ないため、見分けは容易。
しかし、「黒い系統」のアゲハチョウは、ぱっと見ですと見分けがつかないのです。
・クロアゲハ
・カラスアゲハ
・ミヤマカラスアゲハ
・オナガアゲハ
みな、黒いのです。
なので、奥深いのです。
語郎