有給医のライフハック記録

医師の語る人生最適化戦略

天気の変わり目の、つらい頭痛や不調。気象病について。

 

 

梅雨時や台風が発生した時に、体調が悪くなりやすいことはないだろうか。激しい気圧変動や天気の変化があると、体調を崩す方が一定数いる。

 

かくいう僕もそうである。晴れ続きや雨続きでは問題を感じない。ただし天気の急な移り変わり、たとえば「晴天から雷雨」などでは体調が悪くなる。なんとなく頭が重かったり、めまいがしたり、表現しにくい不調が出てしまう。

 

 

1.気象病・気圧頭痛について

気象病や気圧頭痛といった概念がある。文字通り、気圧の変動などで体調を崩す症状を指している。わりと最近になって、周知され始めた概念である。学生時代には、そんなに習った記憶がない。専門外来を設置した外来やクリニックも出てくるほど、知れ渡っている。

 

 

2.メカニズム

いろいろな症状の寄せ集めのような概念である。代表的なものは、頭痛・吐き気・めまい・むくみ・古傷の痛み、などだそう。なぜ起きるのか、簡単に概説し記録したい。もっとも、あまりメカニズムがはっきりしない現象も多いため、参考程度に。

 

 

晴れ渡る高気圧と、天気が悪くなる低気圧。今まで晴れていたのに、天気が悪くなるのは、高気圧→低気圧の変化である。ダイナミックに気圧が変化したと仮定する。体としては高気圧の環境に適応していたのに、低気圧へ環境が変化することになる。

 

 

一般的な話を挙げる。物体の周辺環境の圧力が下がれば、その物体には周りに引っ張られるような力がかかる。イメージとしては、低気圧の環境に向かって、物体が膨張するようなものだ。密閉されたタッパーなどで空気を抜く実験をご存じだろうか。中にある風船は、タッパーの気圧が低くなると、どんどん膨張するだろう。

 

 

人体でそのような圧力がかかるとどうなるのか。周りの気圧が急激に低くなると、体の組織に「むくむ」ような圧力がかかる。膨張・拡張してしまうのだ。それぞれの器官で考えてみる。

 

・三半規管(体のバランスをとる部位)への影響⇒気持ち悪さ・めまいが出現

・関節や皮膚への影響⇒むくみ・古傷の痛みが出現

・頭部の血管への影響⇒頭痛が出現

 

考えられる不調は、このメカニズムで概ね説明がつくのである。まだ詳細な部分は分かっていないらしいが、組織の「むくみ」の影響が大きいのは確からしい。

 

 

3.予防法

「予防法」としたのは、治療法が確立していないからである。起きてしまった症状に対して、それを和らげる方法しかないのが現状。地球に生息している以上、難しい問題だが、致し方あるまい。

 

・頭の後ろ側、とくに首のあたりをマッサージして血流を良くする。

・五苓散を含む漢方薬を試してみる。気圧変化での不調や、むくみに効く模様。

 

・あまりにも体調が悪すぎたら、しっかりと休む。

 

まだ概念としても出現したばかりで、はっきりしたことが不明なのも事実。酷ければ休むのが、根本的な対応策なのだろう。

 

これから梅雨があけて、台風の季節になる。注意するようにしたい。

 

語郎