ゼロサムゲーム(zero-sum game)という概念はご存じでしょうか。くわえて、隣接する概念であるプラスサムゲーム(plus-sum game)、マイナスサムゲーム(minus-sum game)などは、いかがでしょうか。
これらは、ゲーム理論(人間の行動や経済活動を数値モデルで把握する理論)の用語です。よく見かける用語ですよね。
昔の僕は「なんじゃ、そりゃ」といった感じでした。しかし、よく学ぶと奥深い概念です。これらの概念を把握することで、参入すべき市場や方法論について、自分の軸ができると思います。
今回は、分かりやすい実例を交えつつ、ご紹介しようと思って記録します。
・まずは、ゼロサムゲームから
ゼロサムゲームとは、ゲーム参加者の得点と失点の和が、常にゼロとなるゲームを指します。ようは「誰かが勝っていれば、誰かが泣きをみている」状態です。
ちょっと、ピンとこないと思いますから、実例を。
麻雀が好例です。
麻雀ゲーム(麻雀闘龍 Cross Field Inc.)のリザルト結果です。画面の「がく」は僕です。変な名前を付けてしまいました。弱いCPU相手に、バカ勝ちしたゲームでした。
この画面を、よくみていただければ。僕の総得点の102は、他のCPUの合計値(6+36+60)と同じですよね。これが、まさにゼロサムゲームなのです。
・プラスサムゲーム
お次は、プラスサムゲームです。参加者の得点の合計が、参加時点の合計よりも、増加している状態を指します。「誰かのプラスは、必ずしも誰かのマイナスによって、得られたものではない」という状況です。
イメージが湧きにくいと思います。実例としては、最近よく言われている「投資信託などの、長期目線の投資案件」ですね。
mukyui2020様の、ブログ記事と動画が詳しいので、リンクさせて頂きます。ご本人には、了承を得ています。
mukyui2020様が語られているように、株式投資と一口にいっても、それぞれポジションがあるのです。デイトレード(短期売買)の場合には、株式市場に出回るお金の総量は、さほど変化しません。「誰かが泣きをみたら、同じ分だけ笑いをみる人がいる」世界です。変なはなし、「誰かが無くした100万は、誰かがゲットした100万」ってなところです。デイトレードは、ゼロサムゲームなのです。
しかし、投資の世界で、数年や数十年の単位になってくると、話が別で。数十年たつと、世界全体としては、豊かになっているわけですよ。文明の進化やインフラ増大にあやかるため、「全体としてみたら、パイが増大している」状況になります。長期投資は、プラスサムゲームだったのです。
ただし、注意点があります。過去の株式市場を振り返って現在をみると、「結果的には、プラスサムゲームだった」わけですよね。今後は、プラスサムゲームにならない可能性も、当然あるわけです。それが、下にしめすマイナスサムゲームです。
・マイナスサムゲームって・・・
参加した時点よりも、参加者の取り分(パイ)が全体として収縮する状況。これが、マイナスサムゲームです。
僕らの身近にも、あります。なにか、お分かりでしょうか???
競馬とか、宝くじとか、公営ギャンブルですね、はい。意外と知られておりませんが、重要なことです。参加した時点と比較して、「運営者が、多額の手数料と税金を取る」わけです。ゲーム終了時点では、その「取り上げられた手数料の合計」だけ、参加者の取り分の合計が縮んでいます。
競馬に一発あたって一攫千金、は夢がある話ですが、「全体として」見た場合には、参加者は不利な状況なのです。
・指針
自分が参加しているゲームの、大枠を把握するのが重要なのだと思います。
株式投資でいうと、自分がデイトレード向きなのか、あるいは長期投資向きなのか、ちょっと見極められるといいですね。
あえてマイナスサムゲームに突っ込むことは、したくないものです。もちろん、本人が楽しければ、それはそれで良いのですが。
語郎