ハッキングとクラッキングの誤用
本来の正確な意味と、取り違えて使われている言葉があります。言葉のルーツや概念を、取り違えて広まったわけですね。ITの世界でいうと、その代表格がハッキングとクラッキングでしょう。
両者のもつ単語の意味やルーツは、けっこう違います。まったく言葉としての由来は異なります。ですが、メディアやコンテンツでも上手く使い分けられていません。
本来の意味に絞って、ご紹介します。
さきに、要約しますと。
①ハッキング・・・エンジニアリングによって便利なプログラムを組むこと。
②クラッキング・・・技術を不正に利用すること。
ハッキング(hacking)から
hackingの日本語訳としては、「モノを分解する」 というニュアンス。日本語訳をみても、ハッキングという単語そのものには、犯罪を思わせるような悪い定義はありません。
そこから派生して、ハッキングは「ありあわせの道具でうまく凌ぐ。切り抜ける」というニュアンスをもつ単語に。さらに転じて、高度なコンピュータのエンジニアリングも含まれるようになりました。
ネットワーク関連の技術にも
コンピュータの技術体系の一つには、ネットワークや通信関連のものもあります。通信技術も、かなりマニアックな領域です。そういう難しい部分を、創造的な小技で切り抜けて、いまのインターネットがあるのですよね。インターネットは、本来の意味でいうところの「ハッカー」が作り上げた代物なのです。
また、インターネット上でのシステムが脆い部分もあって。そのような弱い部分について、「善意をもってアクセス」して、管理人に伝えてあげる文化があったのです。「ここが弱いですよ」という簡単なテキストファイルを残して、それ以外は何もせず去っていたそうです。いまでいうところの、ホワイトハッカーに近いと思われます。
クラッキング(cracking)とは
ところが。インターネット全盛の時代到来とともに、そのようなセキュリティーの技術を悪用する人が現れました。目的は、のっけから侵入や破壊目的です。
そうなんです。本来であれば、ニュースで報道されるような行為はクラッキングと呼ぶところなのですよね。ちなみにcrackingの日本語訳は、「モノを割る。たたき壊す」という破壊のイメージのある単語です。
クラッキングには創造的な部分は皆無で、ひたすらに迷惑な犯罪行為です。
とはいえ、ごちゃまぜになっているのが現状
ハッキングにも悪い意味を持たれるようになっております。その意味では、いまさら単語レベルで意味を線引きするのもナンセンスかも知れません。
時代とともに、言葉の意味も変わってくるでしょうから。一般的なイメージが浸透しているなら、落ち着くところに至るでしょう。
思うところ
よく引き合いにされるお話ですが。ナイフそのものには良いも悪いもなく、ただの道具だということ。料理をつくる道具になりますし、凶器にもなる。
技術を使う人間の心構えというか、そういった部分が本質なのかな、と感じます。
語郎