有給医のライフハック記録

医師の語る人生最適化戦略

あなたの血液型、本当にあっているの? 検査の仕組みも分かりやすく解説。

 

 

血液型性格判断について

血液型性格判断や占いは、昔からあるコンテンツだ。僕は性格判断については肯定派でも否定派でもない。だが真偽のほどはさておき、そもそも自分の血液型を間違って記憶していたら、まったく意味がないだろう。

 

間違って記憶していたことが、大人になって献血などで判明する例も多い。学生時代に大学での内科実習で、血液型を調べることがあった。そこでも30人のグループで4人ほど、認識とずれた結果になった学生がいた。なぜ認識とずれることが起きるのか、まとめて記録する。

 

1:純粋に間違って記憶していた。検査実施歴がないのに、例の性格判断で自己判断していた。

2:赤ん坊の頃に、産科や小児科で検査した。たしかに母子手帳にも記載がある。

 

上記の1については議論の余地はない。問題は2だ。ちゃんと検査したにも関わらず、大人になってからの検査結果と違う人が、一定数いるのだ。このズレを理解するには、血液型検査について、知る必要がある。

 

血液型検査の仕組み 

それには、抗原と抗体についての理解が必須である。抗原とは、抗体産生を誘発する物質のこと。例えば、コロナウイルス(抗原)とコロナウイルスに対する抗体(抗体)の関係である。抗体と抗原がくっついて反応し、抗原を免疫反応で倒すのだ。

 

さて血液型(赤血球)についての抗原と抗体を、以下にまとめる。赤血球上の血液型抗原と、血液の中に溶けている抗体の関係性である。

・A型:A抗原   +   抗B抗体

・B型:B抗原 +   抗A抗体

・AB型:A抗原とB抗原 + 抗体なし

・O型:抗原なし           + 抗A抗体と抗B抗体

例えば、A型の人をとりあげる。抗B抗体を持つため、B型の赤血球が入ってくると、反応してしまい、困ったことになる。B型の人は、この逆だ。AB型の人は他の赤血球が体内に入っても、抗体がないから反応が起きない。O型の人は、O型以外の赤血球と反応してしまう。

 

血液型確定のためには、2つの検査で裏付けをする。抗原検査(表試験)と抗体検査(裏試験)、2つの結果が一致してはじめて、血液型確定となる。

 

赤ちゃんの場合

生まれたての赤ん坊では、十分な量の血が取れない。わざわざ血液型検査のために、たくさん採血するのは負担が強い。少量の採血で可能な、抗原検査しか出来ないことが多い。抗体検査は血液に溶けている抗体を調べるため、採血量が多くなってしまう。2つの検査が出来ないため、血液型がそもそも確定できないのだ。

 

加えて、赤ん坊では、抗原の力もまだ弱い。どうしたって十分な検査にはなり得ないのだ。血液型が変わったわけではなく、検査が曖昧だったのだ。小学生くらいまで、待った方が正確だと思う。仮に輸血が必要なレベルの事故に遭遇した時には、検査される。事前に必ず知らなければいけない類のデータではない。

 

稀に変わるケースも

ただし稀に血液型が変わる人もいる。

・赤血球系統に異常をきたす白血病

・骨髄移植後

・消化器の癌

これらはよく知られている。

 

占いにしても性格判断にしても、最低限あっているか確認してから楽しむといいだろう。間違っていては、無駄な投資になり、ちょっと悲しい。

 

 

語郎