有給医のライフハック記録

医師の語る人生最適化戦略

医学部進学したいあなたへ。メリットとデメリットを、医師4年目となった今、振り返ってみた。

 

 

優秀な人が医学部進学すべきなのか?

従弟が今年の4月で大学生になった。母親が看護師として勤務しており、従弟は医療系学部とりわけ医学部進学を期待されていたようであった。本人としては、飛行機や鉄道に深い関心があったため、工学部進学を希望していた。そのため家族内でも進路で揉めていた。結局本人が選んだのは有名大学の工学部だった。将来は工学部の大学院まで進学するらしい。

 

 

考察

医師となった今の視点から、医学部進学を勧めたかどうか、自問してみた。現場で仕事をしていると、「あの人は、あきらかに医者として働く適正がないだろう」と感じることが多々あった。決して人のことは言えないかも知れないが、これを機に色々と振り返ってみることにした。

 

  • 純粋に人の命を救いたい。学問として医学研究に没頭したい分野がある。明確に目指す理由があるならば、真剣に医学部進学を検討するべき。
  • 給料が高い。親が医療系であるため、検討している。医学・医療には特段の興味がない。明確な進学の動機がないなら、即刻選択肢から外すべき。

 

僕がまとめたいことは、上記の2点に尽きる。これだけ。モチベーションがあれば6年間の教育課程も乗り切れるだろうが、医学の勉強や実習に苦悩を感じて大学を中退する学生も多かった。特に1年生と2年生の合計退学者は2桁に迫っていた。そう、結構辞めるのだ。うまいこと最終学年の6年生になっても、卒業試験(受からないと卒業できない)や医師国家試験に落ちる学生もいた。やけくそになって6年生で辞めた人も知っている。

 

 

運よく学生時代を切り抜けても、研修医時代や若手時代には理不尽がつきまとう。業界にいると、色々な研修病院の噂を耳にする。突然研修医を辞めた人、研修医の過程を首尾よく進められなかった人、研修医で医者を辞めた人、専門課程で辞めた人。途中で辞める人が、思っているより多いのだ

 

 

医者になったときのデメリット

いざ医者になった場合の、困った事象を具体的に列挙しておく。

  • 若手時代、下手したら無給になる。無給でなくても最低賃金を下回る給料になる可能性がある。
  • 転勤が鬼のように多い。多いと半年に一度の頻度。
  • 現場の宗教感。何が何でも完璧にこなすべき、絶対に支援すべきと考える医療従事者がいる。自分がぶっ倒れても支援すべき、など破綻した考えをもつ方もいる。
  • 一度進路として選択すると、あとから方向修正が効きにくい。不可能ではないが、相当いろいろな面で不利になる。年齢には抗えないのだ。

 

このような点を織り込んで、なお医学部進学に情熱を感じる方はいらっしゃると思う。ぜひ進学して医学の発展に尽くしてほしい。病気で悩んでいる人を救ってほしい。医学は尊い学問である。

 

 

語郎