有給医のライフハック記録

医師の語る人生最適化戦略

内科の視点から考察する、虫歯。唾液分泌がキーワード。

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今のところ僕のなかで最も関心のある疾患は、虫歯だ。自身が治療を受けているため、自然と興味が沸いているのだ。通院している歯科の先生が話しやすく、いろいろと知識を与えてくれる。先日、歯科を再受診したため、そこで得た知識を記録したい。また、この機会に自身の内科知識と歯科疾患をリンクさせたいと思う。

 

  1. 詰め物をすると再度虫歯になりやすいのか
  2. 内科的疾患と虫歯について

 

虫歯で治療した後に、ふたたび同じ歯が虫歯になってしまった方がいるかも知れない。しっかりと麻酔をかけ、歯を削り、詰め物なり被せ物をして、治療は終了したはずだ。なぜ同じ歯が虫歯になるのだろうか。やるせない気になるだろう。気になって、歯科の先生に聞いてみた。以下に箇条書きでまとめた。

 

  • 確かに虫歯の治療は一度終了しているかも知れない。しかし、人工物である詰め物や被せ物と、生まれながらの自分の歯の間にはマイクロ単位で隙間が出来てしまう
  • いくら丁寧に磨いても、マイクロ単位の隙間を抜けて細菌が生着することがある。
  • 銀歯だと、なおのこと汚れが付きやすく、細菌も生着しやすい。

 

つまり一度虫歯になって詰め物をしても、そこが再度虫歯になる可能性があるのだ。人工物が入っているため、むしろ虫歯になりやすいかも知れない。油断せずに管理しなくてはいけないのだ。

 

「うちは虫歯になりやすい家系だからねえー」と父親に言われた。「なんだそりゃ。眉唾だな」と最初は思った。だがネットで調べてみると、そういったことを考えていらっしゃる方もいるようだ。果たして本当なのだろうか。そうだとしたら、内科的な疾患で説明のつくものもあるのではないか。

 

歯科医院からの帰り道、考えながら歩いていた。唾液分泌が虫歯予防には重要であることは知っていた。それならば、唾液分泌が障害される、あるいは口の中が渇くような内科的疾患を思い出せればヒントになるはずだ。

 

一つの疾患が頭をよぎった。そう、自己免疫疾患のSjögren(シェーグレン)症候群である。シェーグレン症候群とは、膠原病の一種である難病。唾液腺組織を自分の免疫で破壊してしまい、唾液の分泌が減るのだ。他には涙液も減ってしまう。口のなかがカラカラに渇き、虫歯が多く発生してしまうのだ。

 

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(引用:難病情報センターのシェーグレン症候群のページ)

 

そう、内科的にも虫歯になりやすい疾患はあるのだ。別にシェーグレン症候群ではなくても、唾液分泌が少ないタイプの人は、虫歯になりやすい。家系かどうかは別問題だが。

 

また、顎の疾患で歯並びが悪いと虫歯になりやすい、と聞く。それであれば、顔かたちが似通る家族では、もしかしたら家系が関係すると感じるかも知れない。だが、かみ合わせで問題を指摘されていなければ、あまり考えにくい。どちらかといえば、歯を磨く習慣など家庭環境によるのだろう、と思う。

 

唾液分泌とは異なるが、寝ているときに口呼吸になりやすい方も、虫歯になりやすいだろう。そうなると、耳鼻科的な問題と虫歯がリンクするかも知れない

 

 

 

人体の器官は、全てつながっているのだ。「歯科」だけにフォーカスすると周りがみえなくなるかも知れない。全体的な視座をもって診療するのが肝心だ、と痛感した。

 

 

 

語郎